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メルカリとリクルートはタイミーの牙城を崩せない、これだけの理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月27日 13時50分

 これは「イノベーター理論」と「ネットワーク効果」の観点からも説明可能だ。

 米国の社会学者、エベレット・M・ロジャース氏が提唱した「イノベーター理論」によると、新しい技術やアイデアは、初期の導入者(イノベーター)から始まり、その後、初期採用者、アーリーマジョリティー、レイトマジョリティー、そしてラガード(遅滞者)へと広がっていく。

 タイミーが「タイミーさん」という新しい言葉や文化を作り出し、それが広く認知されると、そのブランド力とユーザーの忠誠心が強化される。これは、初期採用者やアーリーマジョリティーがそのサービスを継続的に利用する動機となり、後発企業が同様のサービスを提供しても、既存のユーザーを奪うのが難しくなる参入障壁として機能する。

 ネットワーク効果とは、ある製品やサービスの価値が、利用者の数が増えることによって増大する現象をいう。

 多くの求職者がタイミーを利用するようになると、それに対応するために多くの企業がタイミーを通じて人材を募集するようになる。この結果、タイミーのプラットフォームはさらに多くの求人情報を提供でき、求職者にとっての利便性が向上する。このようなネットワーク効果により、タイミーの市場ポジションはますます強固なものとなり、後発企業がそのシェアを奪うのは一層困難になるのだ。

 このように、アルバイトの現場で「タイミーさん」という言葉が普及すると、そのブランドは単なるサービス提供者以上の意味を持つようになる。これは、タイミーが単なる労働力のマッチングプラットフォーム以上の存在として認識され、利用者にとっては生活の一部やコミュニティーの一員として感じられるようになるということだ。こうした文化的資産は、後発企業が簡単には模倣できない独自の強みとなるだろう。

 ではここからは、メルカリやリクルートと比較したタイミーの優位性を見ていきたい。

●メルカリは多様な事業展開とユーザー層に対する懸念を払拭できるかがカギ

 タイミーとメルカリの違いに、ユーザー層の質があるのではないか。メルカリが「闇市」と称されることがあるのに対し、タイミーではそのような評判をほとんど耳にしない。この違いは、取引の性質と評価システムの厳格性に根ざしているのだろう。メルカリのこうしたイメージは、受け入れ側である事業者も懸念を示す可能性があると筆者はみている。

 メルカリは、個人間取引のプラットフォームとして広く利用されているが、その取引はしばしば苛烈な値引き交渉やトラブルに見舞われがちだ。企業側も対策を講じているが、クレカ枠の現金化のために現金が出品されたり、偽物のブランドバッグが出品されたりなど、「闇市」と揶揄(やゆ)されることも珍しくない。

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