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メルカリとリクルートはタイミーの牙城を崩せない、これだけの理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月27日 13時50分

 一方でタイミーは対面での仕事をマッチングするため、直接的な対話と関係構築が必要だ。このため、取引の透明性が高く、トラブルが少ないのが特徴である。

 さらに、タイミーの評価システムがその違いを際立たせている点も見逃せない。タイミーでは、労働者と雇用主の双方が評価し合う仕組みが整っており、厳格な基準が設けられている。この評価システムにより、信頼性の高いユーザーが選別され、不正やトラブルを未然に防ぐことができ、評価が著しく低下するとサービスが利用できなくなる。タイミーのこの厳格な評価システムは、ユーザーの質を高める重要な要素の1つだ。

 また、メルカリ本体の状況をみると、今年で参入10年目となる米国事業がいまだに大苦戦している。決済ビジネスのメルペイもようやくユーザー数が増加し、累積の赤字が圧縮されはじめているというフェーズである。

 他にも同社は暗号資産の「メルコイン」を展開したり、生成AIを活用するサービスの開発をアナウンスしたりしている。良くいえば事業の多角化を模索している段階にあるといえるが、悪くいえば多方面に興味が分散しているともいえる。

 すでにタイミーが高いユーザー体験を提供し続けている中、いくらメルカリには750万人の潜在ワーカーがいるといっても、その潜在ワーカー数はタイミーのユーザー数、700万人とほぼ変わらない。メルカリハロの潜在ワーカーは、すでにタイミーで働いているかもしれない。

●リクルートは「バイト」にこだわると失敗する?

 「タウンワークスキマ(仮称)」は、本体への業績インパクトやシナジー効果の小ささから、期間を追うごとに、運営に力が入らなくなってくるのではないかと筆者は予想する。

 リクルートHDにおける足元の連結事業セグメントのうち、同社の収益の柱はHRテクノロジーや人材派遣事業で、80%近くの売り上げをつくっている。

 一方でリクルート版のタイミーは、同社のセグメント売り上げが最も小さいマッチング&ソリューションセグメントに属しており、そのセグメントでは新卒者や転職者向けマッチングサービスの貢献度が高い。

 サービス名からも分かるように、リクルート版タイミーは「タウンワーク」という限られた媒体で作用しうる、短期アルバイトのマッチングサービスを提供するにとどまるのではないか。

 また、上場を控えているタイミーの想定時価総額は最大約1360億円で、リクルートHDの時価総額は約14兆円だ。リクルートにとって、スポットワーク市場はいささか小さく映るのではないか。

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