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メルカリとリクルートはタイミーの牙城を崩せない、これだけの理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月27日 13時50分

 リクルートが得意とする、ホワイトカラー人材にもスポットバイトの対象を広げれば、リクルートが抱えている転職希望者や主要求人企業とのシナジー効果も生まれてきそうだが、そう簡単な話ではない。ホワイトカラーの仕事には業務委託形態の方が適しており、バイトという働き方は合わないのだ。ホワイトカラーの仕事は、高度な専門知識やスキルを必要とする場合が多く、短期間のアルバイトではそのニーズに十分に応えられないことがしばしばある。

 例えば、プログラミングやマーケティングといった専門性の高い業務は、長期的なプロジェクトや継続的な業務が求められることが多く、取り扱う情報の多くが機密情報となる。これを短期バイトで満たそうとすると管理コストや法務コストがいたずらに上がってしまう。

 従って、リクルート版タイミーが対象とする市場は、本体の他事業とのシナジーが薄く、市場規模も小さいことから事業継続のモチベーションが低下するのではないかと考えられる。

 飲食業界や小売業では、繁忙期やイベント時に短期間で働ける人材を求めるニーズが高まる。このような即時的な人手を必要とする分野では、リクルート版タイミーのようなサービスは大いに役立つが、ホワイトカラーの市場ではその需要は限定的なのだ。

 以上のように、リクルート版タイミーがホワイトカラー市場で成功するためには、短期バイトの形式にこだわらず、業務委託やフリーランス契約といった柔軟な働き方をカバーすることも、一考の余地がありそうだ。

●タイミーが直面するリスク

 ただし、競争の激化により、タイミーは予期せぬリスクに直面するかもしれない。確かに、メルカリハロは既存のユーザーベースを生かし、サービスの浸透を迅速に進めている。給与デジタル払いなどに対する需要は未知数だが、技術革新のニーズを見誤ると、タイミーは競争力を失うリスクがある。

 また、今後の法規制の動向にも目が離せない。労働者の保護に関する規制が厳格化すると、運営コストが増加する可能性がある。この点については企業体力のあるリクルートの方に分があるともいえそうだ。

 そうはいってもやはり、タイミーの牙城を崩すことは容易ではなさそうだ。先行者利益、強力なブランド力、そして継続的なサービス改善という要因が、タイミーを市場のリーダーたらしめている。大企業がこの牙城を崩すためには、長期的な視点と戦略的なアプローチが求められるだろう。

●筆者プロフィール:古田拓也 カンバンクラウドCEO

1級FP技能士・FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックベンチャーにて証券会社の設立や事業会社向けサービス構築を手掛けたのち、2022年4月に広告枠のマーケットプレースを展開するカンバンクラウド株式会社を設立。CEOとしてビジネスモデル構築や財務などを手掛ける。Twitterはこちら

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