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女性が牛丼屋に入りにくい問題どうする? 「吉野家」15年ぶり大規模出店 女性を狙った2つの店舗スタイルとは

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月29日 6時20分

 テークアウト専門店の女性客比率はチェーン全体の25%に対し、50%と高い。コロナ禍を通じて吉野家のテークアウト比率が7.8%から37.5%へと拡大したことも背景にある。今期は117店舗の出店を計画し、来期はさらなる出店を模索する。

●「らしくない」C&C店舗も大幅に拡大へ

 吉野家は他にもC&C店舗の出店を強化する方針を発表している。

 C&Cとは「クッキング&コンフォート」の略。従来店のようにU字型のカウンター席はなく、C&C店舗はファミレスやカフェのようにテーブル席を多く設置する。椅子も簡素な丸椅子ではなく、背もたれがついたものだ。カウンター席には電源もあり、ゆっくり休めそうな雰囲気である。無機質な従来店の内装とは対照的に、C&C店舗は木目やレンガ調の壁紙、フェイクグリーンを設置するなど内装にも凝っている。

 利用客は入口付近のレジで会計を済ませ、呼ばれたら取りに行くセルフ式をとる。松屋のように券売機を置かないのは、対面を重視する吉野家らしい施策だ。C&C店舗限定のメニューもある。「牛丼ON野菜」(並盛677円)や「ON野菜」(110円)のほか、アイスクリームやドリンクバーまであるのが特徴的だ。以前はケーキも提供していた。

 牛丼御三家の中でもトッピングや特徴的なメニューが少なく、牛丼一辺倒だった吉野家のメニューをかえりみると、C&C店は女性客を取り込もうとする姿勢がうかがえる。

 C&C店は従来店よりテークアウトの売り上げが伸びた他、2割だった女性客比率が3割に増えた実績もあったといい、期待は大きい。2016年から出店し、2019年時点では4店舗しかなかったが、新規出店および従来店の改装を進めた。直近2年で店舗数を著しく増やし、2024年2月期末時点では412店舗まで拡大している。2025年2月期末には532店舗を目標とする。

●本業に集中し、女性客を取り込む

 テークアウト専門店、C&C店と2つの新業態店を強化する吉野家だが、背景には女性客を取り込みたい狙いがある。従来の狭いカウンター式店舗には抵抗がある女性も多く、新業態店でそれを打ち消す形だ。

 各社が実施する牛丼屋のアンケートでは、女性からの評価が高いのはすき家の傾向がある。すき家は豊富なトッピングメニューや子ども向けメニューで幅広い客層を取り込んできた。一方の吉野家は女性客比率が低く、新規開拓を模索した結果が新たな戦略に反映されている。

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