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東急の「自動運転バス実証実験」に京急バスも参加、成果と課題が見えてきた

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月29日 8時10分

 信号機の色を画像認識する方法も技術的には可能だ。しかし太陽光線の影響で色を正しく認識できない恐れがあるため通信方式を採用した。青信号に向かって進行していても、バスは赤信号に切り替わるタイミングを知っているため減速する。バスが交差点に到達すると同時に信号が赤になり停車した。

 青信号になると発車するけれども、交差する道路に進入する場合は必ず停止し、運転士の確認動作によって動き出す。右折、左折した直後に横断者が居る場合は障害物として認識して停止。こちらも確認動作で再スタートする。ただし障害物検知センサーの範囲外から近づく横断者を判断できないため、いまのところは運転者の確認動作を伴う。

 路上駐車を回避する機能を搭載しているけれども、道幅が十分ではない場合のほか、速度が低いので対向車両や後続車両とのタイミングが合わないため、いまのところは手動運転で対応しているとのこと。

●能見台エリア:自動運転バスが子どもたちに人気で……

 能見台は京急グループが大規模な宅地開発をした地域で、グループ全体の新しい価値創造事業の重要拠点となっている。能見台駅から広大な住宅地が広がり、バスの路線網があること、坂道が多いことなどが虹ヶ丘・すすき野エリアによく似ている。能見台営業所で聞いたところ、京急グループの主要な事業エリアとなっている横須賀市、三浦市、葉山町、逗子市も、エリア内に歩道の幅員が狭いところが多く、路線バスにとって道路環境に恵まれているとはいえないという。

 だからこそ、京急バスもラストワンマイルの交通整備が必要だと考えていた。横須賀リサーチパーク(YRP、IT関連の工業地区)では自動運転の実証実験も行われたけれども、大学の研究が主体で、京急バスはレベル2要員のドライバーを提供するにとどまり、自社としては成果を得にくかった。そこで東急バスの呼びかけに応える形で事業に参加し、経験と知見を得たい。これが京急バスの参加の経緯とのこと。

 「能見台エリア」はかなりテクニカルな設定だった。歩道付きのバス通りもあれば、車がやっとすれ違えるような細い道もある。しかも後半は小学校の通学路だ。そんな道を小さなEVバスがゆっくりと通り抜けていく。公園の入口に保護者と思われる女性が立っていた。事前に学校関係者や町内会などに連絡したそうで、やはり心配なのだろう。

 EVバスは東急が保有する車両だ。前回の実証実験で「虹ヶ丘・すすき野エリア」を走っていた。「能見台エリア」を走るに当たり、こちらは京急バスのキャラクター「けいまるくん」を掲げている。私が試乗した時間帯は午後2時ごろで、ちょうど小学校低学年の帰宅時間帯だった。通学路に変わった形のバスがやってきてゆっくり走る。小さくて丸くてかわいい印象もある。そこに「けいまるくん」というフレンドリーなキャラクターがあるせいで、バスが子どもたちに取り囲まれてしまった。当然ながら手動運転に切り替える。「愛される姿も良し悪しですなあ」と添乗員も苦笑いだ。

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