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北海道の釧路製作所が社内DXを推進した“意外な”効果

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月4日 19時31分

北海道の釧路製作所が社内DXを推進した“意外な”効果

釧路製作所DXチームリーダーの新保美玖さん(左)と、羽刕(うしゅう)洋社長

 北海道東部の中心都市の一つ、釧路市。かつては炭鉱や漁業で栄え、全盛期には道内4位の23万人の人口を擁していた。1990年代以降に基幹産業が衰退し、今では道内6位の人口約16万人以下に転落。市内全域が過疎地域に指定されている。

 その釧路市の第二次産業を支えるのが釧路製作所だ。同社の創業は1956年。釧路市内(旧阿寒町)に存在した雄別炭鉱の機械メンテナンスをする事業から始まった。その後、1963年に(道路・鉄道などをつくるときに、障害となる河川・渓谷・道路を横断するため、その上方につくられる構造物である)橋りょう事業に進出。主に公共事業の橋りょう建設が事業の主体となり、日本の高度経済成長と共に事業を拡大していった。

 だが、1970年に雄別炭鉱が閉山。経済成長もバブル崩壊以後の30年間も失われたままだ。釧路製作所の羽?(うしゅう)洋社長はこう振り返る。

 「当社はこれまで200を超える橋を建設してきました。橋りょう建設のピークは1990年。まさにバブルの真っ只中でした。当時、日本全国で90万トン建てられていた橋りょうも、今では15万トン。6分の1にまで縮小しています。最盛期は300人いた従業員数も、今では90人と3分の1以下に減っています」

 それでもなお、橋りょう事業は釧路製作所の売り上げの8割を占める。だが、こうした現状に手をこまねいて待っているわけではない。羽?社長がこう目を光らせる。

 「鋼製橋りょうが依然として主力事業とはいえ、そのマーケットは年々小さくなってきています。そのため近年では、防災減災に関わる水門事業やクリーンエネルギー中心の構造に転換していくGX(グリーントランスフォーメーション)をはじめとするグリーン事業、LNGタンクの製作、そして(堀江貴文氏が取締役を務めるロケット事業の)インターステラテクノロジズや、北海道大樹町などと協業した宇宙産業に進出しています。橋りょうのみならず、鉄が関わることは何でもやろうということで、事業の多角化を進めています」

●生産性を上げる必要性 全従業員にスマホ支給

 多角化を進めるとなると、少ない従業員数でより多くのビジネスを回さねばならない。そこで釧路製作所は、全社員にスマートフォンを支給することに。コロナ禍の2020年のことだった。

 「土地柄地震も多く、東日本大震災の時には避難指示も出ました。もともとは緊急安否確認を目的としてスマートフォンを支給したのですが、同時にLINE WORKSというビジネスチャットツールも導入し、総務経理の分野からDXを進めていきました。LINE WORKSを導入した理由は、社員間の連絡ツールとして使い勝手が良い点や、誰がそのメッセージを読んだのかの“既読”機能の分かりやすさからです。社内のさまざまなデータ登録の省力化や業務プロセスを可視化できる拡張性にも魅力に感じました」

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