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街中でEV車はそれほど見かけないのに、なぜ「使われない充電器」がたくさんあるのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月3日 6時30分

●テラチャージと東京都に問い合わせてみた

 ということで、同社に充電器事業の現状に加えて、「テラチャージのアプリで稼働率を試算しているSNSユーザーの投稿を見ると、他事業者よりもかなり稼働率が低いように感じますが、これについてはどうお考えかうかがいたい」と問い合わせをしたところ、広報担当者から丁寧にこんな返答を頂戴した。

 「社内で慎重に検討させていただいたところ、急速充電については立ち上げから時間がたっておらず、現時点で公表できる内容が限られているため、今回は取材を見送らせていただきたく存じます」

 そういう事情ならばしょうがないと思う一方で、どうにか稼働率が分からないものかと東京都に問い合わせてみることにした。テラチャージのアプリを確認すると、同社の充電スポットには小金井公園、武蔵野の森公園、東綾瀬公園、中川公園、木場公園など「都有施設」(都が所有する施設)にも多く設置されており、やはりそんなに稼働しているように見えないからだ。

 しかし、東京都環境局の担当者によれば、「個別の施設でどれくらい使われているかなどのデータは都としては現在、集計・分析中です」という。

 一般庶民の感覚では「都の公共施設に設置された充電器なのだから、透明性の観点からもシビアに稼働率などをチェックしているのでは」とも思う。しかし担当者と話をしているうちに、そういうスタンスをとっていない理由が見えてきた。

 「これらの充電器は、まずはEV普及のためにインフラ設備を設置していく都の設置目標に基づいて、都が管理する施設に率先して設置するという考え方から進めているものです。

 ですから、周辺の交通量や使用率でこの施設を選んだというより、施設条件に基づく整備方針を定めています。例えば50台以上が収容できる駐車場の場合、普通充電器は8口、急速充電器2口の設置を原則とし、施設の条件を勘案して設置しています」(担当者)

 つまり、国としてもまずはインフラとして「設置ありき」でこの事業を進めている。そうしたこともあって、個別の充電器がどれほど使われているとか、使われていないなどは現時点でそこまで「重視」していないのだ。

●経産省の担当者に聞いてみた

 これが「使われない充電器」が生まれる構造的な問題である。国としては「EV普及」という大義があるが、2024年5月のデータでもBEV(電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)と合わせてもシェアは2.4%程度で、欧米や中国と比べるとほど遠い(出典:日本自動車販売協会連合会および全国軽自動車協会連合会のデータより)。

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