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街中でEV車はそれほど見かけないのに、なぜ「使われない充電器」がたくさんあるのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月3日 6時30分

 そこで、この大義を進めるために打ち出したのが「2030年までに30万口の充電器」という目標だ。そんな中で「ここは稼働率が高いので設置しよう」とか「低いからやめよう」というような細かいことを言っていたら、とても目標は達成できない。となると、残された道は補助金を突っ込んで、「設置できるところにどんどん設置していく」という作戦である。

 そこでガンガン使われたら「当たり」だが、山武市のようになってしまうと「ハズレ」。もちろん、この場合は急速充電器ではあるのだが、普通充電器に関しても同様に「使われない充電器」になるか否かは、つくってみないことには分からない現状があるのだ。

 「お国の事情」はよく分かるが、われわれの貴重な血税も含まれる補助金を使っている以上、そんな「バクチ」のようなことでいいのか。そこで経産省製造産業局自動車課の担当者に「使われない充電スポット」問題について質問したところ、こんな答えが返ってきた。

 「充電器の稼働率は非常に重要なポイントだという認識で、4月22日に開催された『第7回 充電インフラ整備促進に関する検討会』でも議題に上げさせていただきました。今後は補助金を活用して設置した充電器は、稼働率などを事業者のホームページなどで公表するのかということも含めて検討を進めてまいります」

 2024年6月時点、稼働実績を公表しているのはイーモビリティパワー、エネチェンジ、ユアスタンド、ユビ電の4社のみ。だが、今後は先ほど触れたテラチャージも含めて補助金を用いた充電器は全て稼働率をオープンにすべきではないか、という議論が事業者の間でも行われているという。

●稼働率公表が義務化された場合

 もちろん、課題は多い。例えば、会社によって稼働率の算出方法や開示項目およびその定義が異なっているので、これを経産省のもとで「統一」しなくてはいけない。

 では、もし稼働率公表が義務化されれば、充電インフラ整備の進め方はどのように変わっていくのか。前出の充電器事業者関係者はこんな近未来を予見する。

 「補助金を使っている以上、稼働率を重視していく流れは当然です。今後は稼働率の公表を含むEVユーザーへの情報提供の高度化が推進され、費用対効果の高い施設や利用プランの設計が優先的に補助金を受けられる前提となっていくのではないでしょうか」

 そんな“読み”を裏付けるように、前出の経産省担当者も「補助金の要件に稼働率を入れるか否かなどあらゆる可能性を検討していく」という。

 「いまさら?」とあきれる人も多いだろうが、EVインフラ整備にもここにきていよいよ「費用対効果」の視点が盛り込まれていくかもしれないのだ。

 確かに国民感情としては、いくら国から「地球のためにEVに乗りましょう」と呼びかけられたところで、そのインフラ整備に自分たちの税金が費用対効果を度外視で注ぎ込まれていたら、「EVってなんかうさんくせえ」とシラけてしまうだろう。

 本当にEVを普及したいのなら、「ブラックボックス」はつくらずに、充電インフラの実情をつつみ隠すことなく全てオープンにすることから始めるべきではないのか。

(窪田順生)

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