「朝倉未来VS.平本蓮」で“THE MATCHの視聴数”を超えるか RIZIN代表に聞くPPVビジネスの原点
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月20日 13時58分
打ち合わせでは、まず本題である写真集の話を詰め、終わったタイミングで「ヒクソン、あなたと闘いたいファイターがいる」と切り出した。するとヒクソンは写真集の話そっちのけで関心を示したという。「ヒクソンはトップ選手と試合がしたいと思っていて、髙田さんのことも知っていました。ヒクソンの思惑と、髙田さんの意向がちょうど合致したのです。しかし当時の私は放送局子会社の一社員で、決してプロモーターではありません。この業界で、マッチメイクはまさにプロモーターの“聖域”なんです。よってその試合をどう実現させるか、悪戦苦闘の日々が始まります」。
●米国でのPPVによる視聴モデルを、日本でいち早く展開
PRIDE1.で「髙田延彦VS.ヒクソン・グレイシー戦」が実現するのは1997年10月。両者の意思を確認できたのが1996年6月だ。1年4カ月かけて試合を実現するために、榊原氏は奔走する。「当時はまだ30代の会社員だったので『髙田延彦VS.ヒクソン・グレイシー』戦を実現させるため、東海テレビの会議でプレゼンをしました。2人の資料を用意して、場所は東京ドームで、全国中継をして、と企画について説明しましたが、『名古屋の地方局であるわれわれがどうやって東京ドームをおさえて、全国ネットの放送枠を確保するんだ!』などと一蹴されました。そのような批判がくることは私も理解していました」。
榊原氏は東京に足を運んでは全国放送を実現するためにさまざまなテレビ局の関係者に提案をした。しかし全て断られた。何とか東京ドーム開催は実現することになり、最終的にはCS放送のパーフェクTV!(現在のスカパー!)での放送が決まった。
「地上波放送の障壁となったのがルールの問題でした。総合格闘技なので、馬乗りになって相手を殴るといったバイオレンスなシーンは放送できないと、どこの局も判断をしました。当時パーフェクTV!はローンチしたばかりのサービスでした。最終的に格闘技のコンテンツということもあり、PPVでの配信が決まりました。今でこそ、PPVで格闘技やコンサートなどを視聴することが当たり前になりました。ですがその原点は30年近く前の1997年にあります。実はRIZINの前身PRIDEの時代からPPV配信をしていたのです」
榊原氏は、当時PPV配信を決めた理由を語る。「絶対にPPVの時代が来ると予見していました。なぜなら海外ではすでにPPVによる視聴が広まっていたからです。1993年に立ち上がった(世界最高峰の総合格闘技団体)UFCは世界で一番バイオレンスな競技として話題になり、すぐにPPVの購入件数は30万件、40万件と増えていきました。当時のパーフェクTV!の加入件数は30万件程度でしたが、最終的にPRIDE.1では3万件のPPVを売り上げました。パーフェクTV!の方々が非常に驚かれていたのを覚えています」。
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