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なぜ、すき家は“ディストピア容器”を提供するのか 「並盛430円」のスゴさが見えてきた

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月17日 6時0分

●犠牲になっているのは……

 その1つが、すき家の場合は「使い捨て容器」だったというわけだ。かつて「ワンオペ」の問題もあったので、いくら「安さ」のためとはいえ「人」を削っていくことはできない。そこで苦肉の策として、「人の作業」を削るようになったというわけだ。

 今は一部店舗のみだが、これから牛肉価格が上がって、最低賃金も引き上げられていく大きな流れも控える中で、「牛丼並盛430円」なんて異常な低価格をキープするにはさらなる「犠牲」が必要だ。全店舗が使い捨て容器になっていくかもしれない。

 このように「安い外食」というのは、現場で働く人やサービスを犠牲にして成り立つ現実がある。そういう搾取の構図を「庶民の味方!」「コスパ最強!」とかありがたがっているうちは、日本の賃金が上がっていくこともない。いつまでもたっても貧しいままだろう。

 「これで500円? 高すぎるもう行きません!」と文句を言ったり、1000円もしない牛丼チェーンで「使い捨て容器なんて味気ない、ディストピアかよ」と皮肉を言うことは、全て特大ブーメランになって、われわれの脳天に突き刺さっている。

 「もっと安くて、もっと品質の良いものを提供せよ」――。もっともらしいことを言っているようだが、実は「もっと企業は、労働者を法外な低賃金で使い倒せ」と叫んでいることに等しい。

 毎年約59万人の人口が消える日本では近い将来、「安さ」と「多さ」にフォーカスしたビジネスモデルは成立しなくなる。かつてセブン‐イレブンの成長を支えたドミナント戦略(同一商圏内に集中して出店する戦略)はその代表だ。

 それは牛丼チェーンも同様だ。そのため各社、カレー、うなぎ、定食という感じで客単価を上げるメニューを拡充している。

 「安さ」でファンをつくってきたビジネスモデルは、「安さ」から抜け出そうとすると強烈なアンチが生まれるのが常だが、そこにくじけることなく、ぜひ「高齢化社会にフィットした牛丼チェーン」という成功モデルをつくっていただきたい。

(窪田順生)

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