「肉のハナマサ」は肉以外も強い “異常値販売”で乗り込む関西マーケット争奪戦
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月19日 8時0分
JMはグループ売り上げ1548億円、経常利益74億円(2023年7月期)という巨大生鮮スーパー運営企業だ。中小スーパー、卸売などのM&Aも併用しつつ成長を続けており、この10年ほどで売り上げを倍増させた、知られざる有力企業である(図表1)。
同社は食肉卸から発祥し、スーパー店内での精肉売場運営で頭角をあらわした。総菜製造販売も内製化しつつ、商業施設内での生鮮スーパー業態を確立。特に、北関東地盤で巨大ホームセンターを運営するジョイフル本田(茨城県土浦市)のスーパーテナントとなり、同社とタッグを組んで生鮮スーパー「生鮮館」を大成功させた。これを基盤に生鮮スーパーを多店舗展開するに至る。ハナマサを傘下に入れ、その再建にも成功したJMは今まさに、成長を加速しようとしている。
JMが手掛ける生鮮スーパーの成長の原動力は、精肉卸としての調達能力を起点とした精肉の圧倒的なコスパにあるとされているが、それは同社が「異常値販売」と呼ぶ手法である。「特定の商品を大量に陳列し、値頃感がある商品を顧客にアピールすることで、購買意欲を高める」と表現しているが、これが実際に消費者の高い支持を得ている。
生鮮館は店舗当たり年商30億円ほどを売り上げるようなのだが、これは大型店を運営する食品スーパー大手ヤオコーの店舗平均売上に匹敵。一般食品も多く売っているロピア、オーケーが40億円ほどで食品スーパーのトップレベルであることを考えれば、JMの販売力がすさまじいことは分かっていただけるだろう(一般的な食品スーパーは15億円程度)。このノウハウをM&Aでグループ入りした企業にも適用可能であることは、ハナマサの業績からも分かる。
●右肩上がりのハナマサ、その要因は?
ハナマサの業績推移のデータは、2014年以降開示されている(図表2-1)。売り上げも経常利益も順調に右肩上がりで推移しているが、その要因は店舗数を増やすことに依存したものではない。
図表2-2はハナマサの店舗数と店舗当たりの売り上げ推移を示したものだ。店舗当たりの売り上げが上昇していることにより、会社の売り上げが伸びていることがお分かりいただけるだろう。これは、JMの生鮮強化が奏功して、ハナマサの既存店売上が増加しているということであり、販売力が強化された結果といえる。精肉の調達力を背景としたJMの生鮮販売ノウハウが他のスーパーに適用できるのであれば、JMはM&Aを強化することで、さらなる成長シナリオを描くことが可能なのだ。
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