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なぜマネーフォワードは“祖業”を新会社に移したのか 決断の背景に「収益化」

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月19日 11時8分

なぜマネーフォワードは“祖業”を新会社に移したのか 決断の背景に「収益化」

マネーフォワード、創業以来の事業を大きく転換

 マネーフォワードが、創業以来の事業を大きく転換する決断を下した。

 2024年7月17日、同社は三井住友カードとの資本業務提携を発表。この提携に伴い、マネーフォワードは創業以来12年間守り育ててきた個人向け資産管理サービス「マネーフォワードME」事業を分社化し、新会社に移管する方針を明らかにした。新会社の株式49%を三井住友カードが取得し、残りの51%をマネーフォワードが保有する。

 この決断は、マネーフォワードにとって「創業から12年間で最も大きな意思決定」(辻庸介社長)となる。1610万人もの利用者を抱え、国内最大級のPFM(個人資産管理)サービスとして知られるマネーフォワードMEは、同社の看板事業であり、社名の由来ともなった祖業だ。それを新会社に移すという決断の背景には、PFMサービスが長年直面してきた収益化の課題がある。

 マネーフォワードは、なぜこのタイミングで祖業を新会社に移すという重要な決断を下したのか。そして、三井住友カードとのタッグは、PFMサービスの収益化という業界共通の課題にどのような解決策をもたらすのか。

●PFMサービスの栄光と苦悩

 マネーフォワードMEは、日本のPFMサービス市場において、圧倒的な存在感を示す先駆者だ。2012年の創業以来、着実に利用者を増やし、現在では1610万人もの個人が利用する国内最大級のサービスへと成長を遂げた。

 その人気の秘密は、複数の金融機関の口座やクレジットカードの利用履歴を一元管理し、家計の全体像を「見える化」する便利さにある。スマートフォンひとつで、自身の資産状況を簡単に把握できるこのサービスは、デジタル時代の家計簿として多くのユーザーから支持を集めてきた。

 しかし、その成長の陰で、大きな課題も抱えている。PFMサービスの収益化という難題だ。

 「何らかお金に対する不安を持っている」ユーザーが88.4%にも上るという調査結果が示すように、個人の金融リテラシー向上や資産管理の重要性は広く認識されている。しかし、その需要の高さは必ずしも事業としての収益性に直結していない。

 マネーフォワードの事業ポートフォリオを見ると、PFMサービスを含むHome事業の売上高は全体の約13%にとどまる。さらに、前年比16%増という成長率は、会社の基幹事業であるバックオフィス向けSaaSの45%増に比べると見劣りする。つまり、ユーザー数では圧倒的な存在感を示すPFMサービスだが、収益面では期待通りの成果を上げられていない現状が浮き彫りになっている。

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