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なぜ、ビール会社が「飲みづらいグラス」を開発したのか あえて“逆行”には意味がある

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月21日 8時5分

なぜ、ビール会社が「飲みづらいグラス」を開発したのか あえて“逆行”には意味がある

ヤッホーブルーイングが「飲みづらいグラス」を開発、なぜ?

 ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ……。ビールを飲むときの様子を言葉にすると、こんな感じである。この表現に異を唱える人は少ないと思うが、ビールを飲むときにグラスから音が出る商品が登場した。「コポ、コポ、コポ……」である。

 クラフトビール大手のヤッホーブルーイング(以下:ヤッホー、長野県軽井沢町)が“飲みづらいグラス”を発表し、話題になっているのだ。商品名は「ゆっくりビアグラス」。中央部分が細くくびれていて、「砂時計」をモチーフにしている。

 価格は1個9800円で、販売数量は10個のみ。同社の公式通販サイトで7月16日~8月16日まで受け付けていて、8月20日に当選結果を発表する。同社が運営するビアレストラン「YONA YONA BEER WORKS 新虎通り店」(東京都港区)、ビアバー「麦酒大学」(東京都中野区)で同グラスに注いだビールを提供している(いずれも期間限定)。

 ビール会社とすれば、多くの人にたくさんのビールを飲んでもらいたいはずである。にもかかわらず、なぜ“逆行”するかのような飲みづらいグラスを開発したのか。同社のプレスリリースを見ると、大きな理由として2つを挙げている。

 1つめは、厚生労働省の「飲酒ガイドライン」である。今年の2月、適切な飲酒量を知ってもらうために、飲酒リスクの数値などを公表した。ヤッホー社としても「適正飲酒」をテーマに、このグラスを使ってほしいという思いがあるようだ。

 2つめは、調査の結果である。同社は20~60代の男女に、飲酒ガイドラインのことを知っているかどうか質問したところ、21.0%にとどまった。その一方で、普段からお酒を飲んでいる人の35.2%は「飲酒量を減らしたい」と答えていて、適正な飲酒量のために「ゆっくり飲んでいる」人が15.5%いることが分かってきた。

●「飲みづらいグラス」開発に社内の声

 厚労省が飲酒ガイドラインを発表した、飲酒量を減らしたい人がそこそこいる。この結果を受けて、飲みづらいグラスを開発したように感じたわけだが、気になることも。ガイドラインを公表したのは2月、調査を行ったのは7月。にもかかわらず、飲みづらいグラスを発表したのは7月16日である。

 何が言いたいかというと、段取りが良すぎるのではないかという話である。「どうでもいいんじゃないの? そんなこと。細かいなあ」と思われたかもしれないが、ヤッホー社に問い合わせたところ、やはり“ちょっと前から”動いていたようだ。

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