ちゃんぽん界の絶対王者「リンガーハット」 値上げだけではない、不調が続く根本原因
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月31日 6時25分
一強のはずなのに、不調が目立つリンガーハット(出所:同社公式Webサイト)
長崎ちゃんぽんで知られる「リンガーハット」が苦戦している。以前は470億円前後を推移していた売上高は、コロナ禍で340億円まで減少し、外食産業が活況を見せる2024年2月期も402億円と回復が遅れている。主力事業である長崎ちゃんぽん事業の店舗数は、2020年2月期末の704店舗から2024年2月期末には570店舗まで減少した。
値上げが客離れの要因とされているが、ちゃんぽんに関しては目立った競合もなく、同チェーンが“一強”のはずだ。値上げ影響度が低いはずの、ほぼ独占状態でなぜ同チェーンは値上げ耐性が弱いのだろうか。調べると、絶頂期の施策がかかわっていることが見えてくる。
●とんかつで創業 国産野菜や自動調理を強みに1強状態を作り上げた
リンガーハットは1962年にとんかつ事業で創業した。その後、1974年にリンガーハットの原型となる「長崎ちゃんめん」をオープンし、1977年にリンガーハットへ改称。年々勢いを増し、祖業であるとんかつ業態を上回ることになる。リンガーハットはロードサイドを中心に全国的に展開を続け、1995年からはショッピングセンター(SC)内にも出店し始めた。
2024年2月期における全社の売上高・営業利益はおよそ402億円・10億円であり、長崎ちゃんぽん事業はその内323億円・7億円程度を占める主力事業だ。ちなみにとんかつ事業はおよそ76億円・3億円である。
同社の業績推移は、リンガーハットが左右してきた。リンガーハットは「長崎ちゃんぽん」と「長崎皿うどん」が看板商品で、サイドメニューで餃子や半チャーハンなどを提供する。農家と直接契約することで国産野菜の供給を安定させ、厨房で使う調理機器を自社で開発し効率化に務めてきた。自動で野菜を炒めるドラム型機械や、複数のIHヒーターが並ぶ「自動鍋送り機」によって連続的な調理を可能にしている。こうした施策が競合を寄せ付けず、リンガーハットは長崎ちゃんぽんで一強状態を築き上げた。
●フードコートへの大量出店がアダとなった
しかし、近年の業績推移は大幅に悪化している。2020年2月期から2024年2月期の全社および長崎ちゃんぽん事業の業績は次の通りだ。なお、店舗のフランチャイズ比率はおおむね3割弱であり、海外にも進出しているものの店舗網のほとんどは国内店が占める。
全社売上高:472億円→340億円→339億円→377億円→402億円
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