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ちゃんぽん界の絶対王者「リンガーハット」 値上げだけではない、不調が続く根本原因

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月31日 6時25分

全社営業利益:15.5億円→▲54.0億円→▲14.6億円→▲2.9億円→10.0億円

売上高(長崎ちゃんぽん事業):369億円→265億円→269億円→301億円→323億円

店舗数(長崎ちゃんぽん事業):704→615→599→577→570

 2020年2月期末の時点で、リンガーハットは店舗の約6割をSC内フードコートに展開していたため、コロナ禍の2021年2月期と2022年2月期は出店先施設が休業や時短営業を余儀なくされ、大打撃を受けた。この間に店舗の閉鎖も進めたため、2024年2月期になっても売上高は回復していない。

 規模だけでなく、既存店の業績も深刻である。各年度における前年比既存店客数を基に計算すると、2024年2月期の客数は2020年2月期比で81.7%と約2割減っているのだ。既存店の業績が以前の水準に回復していれば、全社売上高も今より回復していたはずである。

 客足減の主な要因とされているのは、たび重なる値上げである。リンガーハットは人件費や原材料費の高騰に対応すべく、コロナ以前から値上げを実施してきた。看板メニューの長崎ちゃんぽんを例にとると、2011年10月には東京23区内の店舗で550円から590円へと値上げし、コロナ禍前後でも価格改定を繰り返した。この3月の値上げでは800円となり、もともと500円程度で食べられていた商品が現在では1.5倍以上の価格になっているのだ。

●安さが求められる立地の店舗が多い

 前述した通り、同チェーンは長崎ちゃんぽんでは一強状態であり、もともと極端な安売りで集客していたわけではない。また、ラーメン・うどん各社でも近年は値上げが相次いでいる。リンガーハットは「長崎ちゃんぽん市場」ではほぼ独占している立場であり、値上げに強いはずなのに、なぜ値上げ耐性が弱いのだろうか。

 考えられる主な要因はその立地にある。

 前述の通り、リンガーハットは約6割がSC内のフードコートだ。当初の強みとしていたロードサイドでは、ちゃんぽんを目当てに訪れる客が多いが、フードコートにおいて消費者は入店してから選ぶ傾向にある。すき家などリーズナブルな外食各社もフードコート出店を強化する昨今、リンガーハットのお得感はかなり劣後すると考えられる。

 クロス・マーケティングの調査結果では、フードコートのイメージとして「安く食事ができる」(24.4%)が「気軽に入れる」(32.5%)に次ぐ2位に上がっており、フードコートにおいて安さが重要な因子であると考えると、リンガーハットの苦戦は必然といえるだろう。

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