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「人手不足倒産」増える宅配 インターフォンと宅配ボックスつないで再配達ゼロに

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月10日 15時23分

●「人手不足倒産」が増加

 宅配業界では人手不足という課題がある。特にトラック運送業は国民生活と経済活動を支える重要な産業だ。いわゆる「2024年問題」を受けて4月、ドライバーの時間外労働の上限規制が適用された。働く時間が規制されたため、ますます人手不足が深刻化している。鉄道貨物協会によると、2028年には27.8万人のドライバーが不足するという。

 運送業のドライバーは高齢化が進む。女性や外国人労働者で賄うのが難しい職種だけに人手の確保が難しい。この人手不足によって会社経営にも、すでに厳しい影響が出ている。帝国データバンクによると、2024年上期(1~6月)までで、運送業界の倒産件数は186件。前年同期より39.8%も増えていて「人手不足倒産」が増えている状況だ。

 中でも宅配業界は、ネット通販でショッピングをする人が増えているため、荷物の取り扱いも増え続けている。2022年度で年間取扱個数が50億個を突破。増加傾向が続く。

●国交省も再配達で対策

 国土交通省は、トラック運送業のドライバーの上限労働時間規制に踏み切った。しかし、これだけでは人手不足問題が解消されず、将来的にはドライバー不足により宅配の荷物が届かなくなる状況も懸念されている。特に再配達問題は解決する決め手がなく、宅配業界の非効率性の「代表格」となっている。

 再配達の割合は共働き世帯が多い都市部が高く、国交省によると2023年10月時点で11.1%と、前年同期と比較して0.8ポイント下がったという。政府は2023年6月の関係閣僚会議「物流革新に向けた政策パッケージ」で、2024年度までに再配達率を6%に下げる目標を掲げた。コンビニ受け取りや宅配ボックスを使うなど多様な受け取り方を推奨することにより再配達率をさらに下げて、宅配ドライバーの負担を軽減しようとしている。

 宅配会社側でも、取り組みは進む。ヤマト運輸は合弁会社運営の宅配ロッカー「PUDO(プドー)ステーション」を、駅や商業施設に約7000台設置した。日本郵便は、ローソンなどコンビニ約3万カ所で荷物を受け取れるようにしている。

●解決策にならない置き配

 面倒な再配達を少しでも減らそうと、受け取り主の住人がいなくても、マンションの部屋の前などに配達物を置いておく「置き配」に踏み切る大手の配達業者が増えている。ヤマトは6月から開始。佐川急便も9月から実施すると発表した。

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