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何もなさそうだから面白い? “働く旅”がじわじわ増えているワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月1日 7時30分

何もなさそうだから面白い? “働く旅”がじわじわ増えているワケ

「おてつたび」ってなに? 仕組みがユニーク

 日本には知名度は低いものの、独自の魅力を持つ地方が数多く存在する。だが、少子高齢化により深刻な人手不足に直面しているところも多い。一方の都市部はどうか。会社によっては人手不足に悩まされているところもあるが、新たな経験を求める人々がたくさんいる。この両者をつなぐサービスとして注目を集めているのが「おてつたび」(運営:おてつたび、東京都渋谷区)だ。

 「おてつたび」は、短期アルバイトと旅行を組み合わせた人材マッチングサービスで、2018年のサービス開始から地方の人手不足解消と、都市部の人々への新たな体験機会の提供を同時に実現しようとしている。

●「おてつたび」の仕組み

 「おてつたび」は、「お手伝い」と「旅」を組み合わせた造語だ。「お手伝い」は友だちや親戚など親しい人に使う言葉であるため、地域の人々とも親しい関係を築いてほしいという思いが込められている。

 利用者は自身の都合に合わせて、全国各地の短期の仕事に応募でき、受け入れ先は農業、漁業、旅館業など多岐にわたる。

 お手伝いといっても単なるボランティアではなく、労働に対する対価(給与)が支払われる。創業者でありCEOの永岡里菜氏は「有名な観光地がない地方へ行こうとすると、高速バスやLCCもないため旅費や交通費が高くなる。その分の費用を、旅先での仕事で得られるようにしたかった」と語る。

 「おてつたび」の収益モデルは、事業者からのマッチング手数料だ。利用者が就労した後に手数料が発生するが、掲載料は無料なので、事業者の参入障壁を低くしている。相互レビュー機能を実装しているほか、社内でも毎週アンケート結果を確認し、必要に応じて事業者側へフィードバックを行うなど、サービスの安全性確保にも注力している。

 立ち上げ当初は事業者の理解を得るのが難しかったが、宿泊業を中心に積極的な営業活動を行い、100件に1件程度の割合で掲載を増やしていった。少しずつ実績を積み上げ、2024年7月現在は登録者数が5万人、事業者数が1500社を突破するまでに成長した。

 この背景について永岡氏は「旅行に対する人々の意識が変化しているから」と語る。旅先で独自の体験をしたいが、現地のことがよく分からないため諦めていた。そうした人々に、このサービスはうまくフィットしたようだ。

 さらに、コロナ禍や円安などの社会情勢の変化により、国内、特に地方への関心が高まった。これらの変化が「おてつたび」の利用拡大につながったようである。

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