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人材不足でも、引きとめは「必ずしも正解ではない」──人事・上司に知ってほしい6つのこと

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月27日 7時25分

●(4)「キャリア自律」がリテンションの基盤となる

 現代企業がリテンションを考える上で最も重視すべきなのは「キャリア自律」です。

 キャリア自律とは、一人一人が自らのキャリアを自分で考え、形成していくことを指します。VUCA時代が到来し、会社や仕事が突然消えてなくなる可能性が出てきました。その一方で、職業人生はどんどん長くなっています。さらに働き方に関する価値観も多様化が進み、仕事より生活を重視する人、仕事以外の副業やボランティアに力を入れる人なども増えています。

 このような状況下では、当然ながら、個人が同じ仕事を何十年も続けられる可能性は低くなります。誰もが現状の経験やスキルを生かしながら、新たな学びを得て、状況に合わせてキャリアの選択肢を増やしていく必要性が高まっているのです。

 また「キャリアの多様化」も進んでいます。「あの憧れの人を目指せばよい」という分かりやすいロールモデルがいないということもしばしばあるでしょう。昇進すら、全員が目指したいものではなくなってきていて、むしろ昇進したくないという人も増えています。一人一人が自らの価値観のもとで、自分のキャリアを自分なりに納得いくように考え、さまざまな行動を起こし、コントロールする必要が出てきたのです。今後は、こうしたキャリア自律を重視しない企業からは社員が離れていっても仕方がないかもしれません。

●(5)マネジャー・人事による「仕事の意味付け」や「持ち味を引き出すこと」がリテンションにつながる

 では、会社が社員のキャリア自律を後押しするにはどうしたらよいのでしょうか。

 キャリア自律を進める際には、図表1のサイクルを回すことが大切です。当社の調査によって「自己理解を進める」と「将来を描いてみる」の2つをそろえることで、キャリア自律が促進されることが明らかになっています。さらに「取りあえずやってみる」や「気になる領域を調べる/他者に会う」ことによる試行錯誤も欠かせません。

 企業は、社員一人一人がこのサイクルを回すために、さまざまな支援ができます。例えば、社員たちが自己理解を促進する場を用意したり、将来を描いてみる場を設けたり、取りあえずやってみる機会を与えたり、気になる領域を調べる/他者に会うチャンスを用意したりすればよいのです。

 その際、マネジャーや人事の重要な役目は、「仕事の意味付け」や「持ち味を引き出すこと」です。自分で創意工夫できて、その結果のフィードバックがあり、そのことを通じて成長できれば、仕事は楽しくなります。あるいは、職場の同僚から知的刺激を受けたり、懸命にやった仕事で感謝されたりすることもやりがいにつながります。加えて、仕事の意味や意義を感じられれば、人はその仕事により深い愛着を覚えます。

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