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人材不足でも、引きとめは「必ずしも正解ではない」──人事・上司に知ってほしい6つのこと

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月27日 7時25分

 しかし、仕事の意味や意義を一人で発見することは意外と簡単ではありません。もっといえば、持ち味も自分では分からないことがよくあります。ですから、マネジャーや人事が引き出してあげることが効果的なのです。

 例えば、上司から「あなたはこういう持ち味を持っているから、極めてみてはどうか」「この仕事はとても地味に見えるけれども、実は社会に大きな意義のあることだ」などと話をすることで、部下のモチベーションがぐんと高まります。

 特にマネジャーは、面談や1on1などの場を通じて、部下に対して仕事の意味付けをしたり、持ち味を引き出したり、自己理解をともに深めたり、成長につながるジョブアサインメントをしたりできる存在です。現代企業では、マネジャーが、キャリア自律を通じてリテンションを左右することは間違いありません。

●(6)リテンションには「組織側の責任」が生じる

 最後に、リテンションには組織側の責任が生じる、という現実にも触れておきます。

 最近、社外越境施策に力を入れる企業が増えていますが、越境を経験すると、転職して新たな道を踏み出す人が必ず出てきます。例えば、海外MBA留学をすれば、魅力的な転職オファーがたくさん舞い込んできますから、転職を選ぶ人が出てくるのは当然のことです。これを越境のリスクと感じている人事の皆さんも少なくないはずです。

 人事の皆さんが越境人材をリテンションしたいと思うのは当たり前ですが、リテンションには必ず責任が生じることを忘れてはなりません。つまり、社外で得られる以上のポジションや経験や収入を社内に用意できないのなら、リテンションしないほうが個人のため、あるいは社会のためかもしれないのです。

●著者情報:古野庸一

1987年東京大学工学部卒業後、株式会社リクルートに入社。南カリフォルニア大学でMBA取得 キャリア開発に関する事業開発、NPOキャリアカウンセリング協会設立に参画する一方で、ワークス研究所にてリーダーシップ開発、キャリア開発研究に従事。2009年より組織行動研究所所長、2024年より現職。『「働く」ということについての本当に大切なこと』(白桃書房)、『「いい会社」とは何か』(講談社現代新書)、『日本型リーダーの研究』(日経ビジネス人文庫)などの著書、『ハイフライヤー―次世代リーダーの育成法』(プレジデント社)などの訳書がある。

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