初期投資に数百万円……元外資系マーケターがD2C起業で分かった“落とし穴”
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月28日 7時40分
私が運営するブランドでは、NO SHAMPOOという、シャンプー+コンディショナー+トリートメント機能を一本にした製品をオンライン(楽天・Amazon・自社サイト・@cosme)で販売している。通常価格は3980円だが、セール時期などに合わせて随時ディスカウントを入れ、価格弾力性を持たせている。
実際にやってみて気付いたD2C事業のメリットは2つ。1つ目は、OEM企業を活用し、誰でも簡単にオリジナル製品の生産ができることだ。
実は日本には多くのOEM企業(他社ブランドの製品を製造する企業)が存在する。例えば今回のように美容製品をオリジナルで作りたい場合、OEM企業にパッケージやデザイン、仕上がりイメージを伝えればかなり精度高く生産してくれる。
昨今のトレンドとして、少ない生産個数からでも発注を受けてくれるOEM企業が増えてきた。そのため、まずは1000個からといった形でなるべく初期費用を抑えた形で開始できる。
YouTuberのオリジナルブランドなども増えているが、こういったインフラの進化がその背景にある。
2つ目は、D2Cの仕組みを作ることは案外簡単なことがある。「D2C事業を自分でやるのは大変そう」「本業との兼ね合いもあるし……」と思う人も多いだろう。実際には、作業自体はかなり簡単に仕組み化できる。
Amazonや楽天といったプラットフォームを活用すれば、製品の受注をオートでできるし、自社サイトで販売する際も、BASEやShopifyといったECカートシステムが多く存在する。
在庫の管理も、これらのプラットフォームと連携された倉庫を活用すれば、自動で発注を受け、そのまま倉庫から顧客のもとに発送という流れになり、実は運営側は特にすることはない。
もちろん独自で広告を回すと工数はかかる。しかし立ち上がったばかりのブランドで大きい広告投資をするのは稀(まれ)なので、副業としても負担なく運営できるのがD2Cの魅力の1つだ。
●D2C事業はもうからない? 初期に陥る落とし穴
技術の進化で簡単に始められるようになった一方、個人でD2Cをやっていくのはもちろん簡単なことではない。そのリアリティーを、実際の数値とともにお伝えしていく。
D2C事業の前提として、初期は赤を掘るのが通例
D2C事業を生業(なりわい)とする企業では一般的なことだが、新しいブランドを立ち上げる際には多くの場合、初期数カ月は赤字になることが多い。数千万円レベルの赤字を初期は許容するというガイドラインを引いているケースもある。これは個人でブランドを立ち上げる際も同じであり、やはり初期には一定程度赤字を出す覚悟が必要だ。
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