米オラクル幹部に聞く、生成AIが描くビジネスの未来 経営者はどう生かす?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月14日 11時35分
ITmedia ビジネスオンラインの単独インタビューに応じたエバン・ゴールドバーグ氏
2024年に入り、多くのエンタープライズ向けのソフトにも生成AIが導入され始めている。米オラクルでは2023年夏ごろから自社製品に生成AIを導入。中小・成長企業向けERP(企業資源計画)パッケージ「Oracle NetSuite」では、企業のデータを元に生成AIが経営に関わる業務を効率化したり、文脈に即した事務的な文章を自動で作成したり生産性の向上を支援している。
この機能は「NetSuite Text Enhance」と呼ばれ、7月17日に日本語にも対応することを発表した。この機能の日本語対応は、英語に次ぐ2言語目であり、それだけ同社が日本市場を重視している姿勢がうかがえる。
オラクルは、NVIDIAやカナダの生成AIスタートアップ「コヒア(Cohere)」との連携を強めながら、ビジネス向けに強力でセキュアな生成AIサービスの開発を進めている。今回、NetSuite向けに生成AI機能が導入されたことも、その一環だ。
オラクルは生成AIが描くビジネスの未来をどう見ているのか。生成AIは、われわれのビジネスはどう変えるのか。前編に続き、NetSuite創業者で、オラクルでエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるエバン・ゴールドバーグ氏に聞いた。
●AIのないビジネスシステムは「車輪のない車」
――ゴールドバーグさんは「世界初」とも言われるクラウドアプリケーション「NetSuite」を開発するなど、二十数年テクノロジーの進展を最前線で見てきました。AIが今後もたらす社会的なインパクトを、どう見ていますか。
AIはビジネスをしていく上で有用なアドバイスをユーザーに与えたり、またその支援をしたりすることができます。まず始めにAIが作り出すインサイト(分析)というものがあります。機械学習やAIは、パターンを見つけることを最も得意としています。ですから、販売データを見ながら、そのパターンの分析をとても高いクオリティーで実行できます。
そのためERPに生成AI機能を搭載することによって、非常に立派な統計分析機能を持っていない中小企業でも「この製品はどういった特性を持っているか」「どういった顧客に売れているか」など非常に細かいインサイトを得られます。
AIとは対話形式で直接やり取りできます。経営者は、その結果から今までに思い付かなかったような質問や疑問点を思い付き、それをAIにぶつけることで、さらに精度の高い回答を出してくれます。これは経営者にとって非常に大きなインパクトになると思います。これが当たり前になってくると、もはやAIのないビジネスシステムは「車輪のない車」と言っても過言ではないと思います。
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