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テレビCMを打ちまくる「Temu」は危険なのか 激安を実現するビジネスモデルとは

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月9日 6時5分

 ただ実際のところ、Temu自体は多額な広告費用などによって、現時点では採算がとれていないという分析もある。

●個人データ流出の可能性は?

 日本のユーザーに不安を抱かせている最大の懸念は、Temuからユーザーデータが流出する可能性があるという話だ。そもそも、Temuなどのアプリはユーザーのスマホからさまざまな個人情報を吸い上げている。Temuの場合、日本人のユーザーデータは「Microsoft Azure」などに保存されるが、それがどこの国に設置されているのかは分からない。ちなみに保存されたデータは、他の国にも転送されるとTemuは認めている。

 Temuによれば、オンラインサイトやアプリの利用者は以下のようなデータを収集される。位置データ(IPアドレスなど)、デバイスの製品番号、オペレーティングシステム情報、言語設定などに加えて、ユーザーが閲覧したページ、ページでの滞在期間、どこからページに到達したか、ページとのやりとり、Temuが送付したメールの開封の有無、メール内のリンクのクリックの有無などだ。

 また、Temuの事業運営を支援する第三者(ホスティングやマーケティングの会社など)にも情報が共有される。さらに「ターゲットを絞った広告を目的として、お客さまの個人情報を共有」するという。

 Temuの姉妹アプリである「Pinduoduo」(共同購入ができるECサイト)は、2023年に「Google Play」から排除された。アプリに情報を盗み取るマルウェア(悪意のある不正なプログラム)が組み込まれていたことが発見されたからだ。このニュースを受け、Pinduoduoはアプリの制作に関わったエンジニアチームを解散したが、元メンバーの多くがTemuの開発チームに加わったと言われている。

 他のアプリでも情報は吸い上げられるが、Temuについて心配なのは、中国で2017年に施行された「国家情報法」だ。その第7条では「いかなる組織および国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持や援助、協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守る義務がある」と記されている。中国企業であるPDDは、Temuの関係事業者、サプライヤーのデータなども中国当局に提供する義務がある。つまり、日本人のユーザーデータも当局が手に入れることが可能ということだ。

 とにかく話題が尽きないTemuだが、日本の当局がきちんと調査をすべきかもしれない。ユーザーの不安を払拭(ふっしょく)するような動きを見せてほしいものだ。

(山田敏弘)

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