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「有休」を使って夏休みを強制取得……会社の対応は問題ないの?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月30日 7時45分

●会社が有休で夏休みを取らせることはOKか?

 「休日」と「休暇」は、労働者から見ると会社を休んでいることになりますが、定義には違いがあります。

 休日は労働契約において労働義務がない日のことで、労働基準法で定めた1週1日もしくは4週4日の休日を「法定休日」、法定休日に加えて、企業が任意に定めた休日を「法定外休日(所定休日ともいう)」といいます。例えば土・日が休日の場合、日曜日を法定休日に定めると土曜日が法定外休日になります。法定休日と法定外休日は企業内で一般的に「公休」とも言われます。

 休暇は本来は労働日であるが労働を免除する日のことをいい、「法定休暇」と「特別休暇」の2つがあります。

(1)法定休暇

 法律の定めにより一定基準を満たした労働者に対して付与する義務がある休暇で、有休のほかに産前産後休暇、育児休業、介護休業などがあります。

(2)法定外休暇(「特別休暇」ともいう)

 企業が従業員への福利厚生の一環として独自で付与している休暇で、一般的には慶弔休暇、傷病休暇、年末年始休暇、夏期休暇などが該当します。法律に定めがないので、休暇の有無や休暇の種類、休暇を取得できる従業員の条件、有給か無給かなどは企業が決定できますが、決定事項は就業規則への明記が必要です。

 企業が夏休みを有休で取らせることができるかできないかは次の判断によります。

(1)夏休みに有休を充てることができない場合

 休日や特別休暇として夏休みが設定されているケースです。

 有休は労働基準法39条に定めがある有給(休んでも賃金が減額されない)休暇で、労働義務のある日についてのみ請求でき、逆に労働義務のない日(休日)に取得することはできません。就業規則で夏休みを休日に定めているかどうかを確認する必要があります。

 また、就業規則で特別休暇として夏休みが明記されている場合、明記された期間や日数は有休の付与ができません(ただし、夏休みが無給の場合、本人の申請により有休として取得する扱いは可能)。

(2)夏休みに有休を充てることができる場合

 計画的付与がされているケースです。

 有休の計画的付与制度とは、企業が計画的に有休取得日を指定する制度です。甲社のように社内で一斉付与をする場合、夏期休暇として取得可能な期間と日数だけを決めて交代で付与する場合などがありますが、制度の運用には労使協定の締結と就業規則への明記が必要です。

 計画的付与制度の対象になるのは、有休のうち5日を超える部分です。例えば、有休の付与日数が年20日の従業員の場合は15日、年10日の場合は5日までを付与対象にすることが可能。有休を前年度から次年度に繰り越した場合は、繰り越し分の有休を含めて5日を超える部分を付与の対象とすることができます。

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