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ワーキングプア増加? 急拡大するスポットワークは、第2の日雇い派遣となるのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月3日 7時0分

 3点目は、ルールが整備されたことです。労働基準法の改正によって2019年から労働条件の明示が書面だけではなく、電子メールやSNSでも可能になりました。また、グレーゾーン解消制度によって、スポットワーク事業者が賃金の支払いを代行しても違法ではないこと、貸金業にはあたらないことなどが確認されました。

 最後に、副業に対する抵抗感がなくなってきていることです。ほんの数年の間に、社員の副業を認める会社が一気に増えました。かねて副業したかった働き手は多く、職場もそれを認めるようになってきたことで、本業を持つ人がスポットワークで副業するケースは珍しくなくなっています。

●「雇用が不安定になるのでは」高まる懸念

 これらの背景を踏まえると、スポットワークはこれからもどんどん広がっていきそうです。ただ、スポットワークという働き方が、1日数時間などの極めて短期間の細切れ契約である点には注意しなければなりません。長期安定雇用の象徴たる正社員とは対照的で、スポットワークが広がるほど雇用が不安定になるのでは、などと懸念する声も聞かれます。

 雇用期間が30日以内の労働者派遣を意味する日雇い派遣は、スポットワークと同じく短期間の働き方であることが問題視されました。世間の注目を浴びるようになったのは、日雇い派遣の大手企業であるグッドウィルなどが違法行為を繰り返していたことが大きなきっかけの一つです。

 短期間の細切れ契約である日雇い派遣はワーキングプアの温床、その実体を浮き彫りにしているのが「ネットカフェ難民だ」などと非難を浴びました。そうなると、30日以内どころか、1日数時間など、より短期間のスポットワークも同じ問題を抱えている可能性があるはずです。

 ところが、厚労省が2007年に発表した、日雇い派遣労働者の実態調査によると、短期派遣労働者(うち、日雇い派遣で働く人が84.0%)の56.3%がオールナイトでネットカフェを利用したことがなく、たまに利用する程度の人(31.3%)と合わせると9割弱。定期的に利用する人はほとんどいませんでした。

 それでも2012年の労働者派遣法改正で日雇い派遣は原則禁止となりましたが、厚労省のパンフレットには「派遣会社・派遣先のそれぞれで雇用管理責任が果たされておらず、労働災害の発生の原因にもなっていたこと」と理由が記されているだけで、ワーキングプアの温床になっているといった内容は見当たりません。

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