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ワーキングプア増加? 急拡大するスポットワークは、第2の日雇い派遣となるのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月3日 7時0分

 つまり、日雇い派遣が原則禁止となったのは雇用管理責任の問題で、ワーキングプアを生み出す短期間の細切れ契約が理由ではなかったということです。

 そのため、派遣事業者が労働者を雇用する人材派遣の場合は認められないものの、人材紹介事業として直接雇用を斡旋する日々紹介であれば、1日だけなど短期間の細切れ契約でも雇用管理責任が果たされないとは言えず合法とされました。日雇い派遣が原則禁止となってから、多くの派遣事業者が日々紹介にサービス転換しています。

●労働者供給事業に該当する可能性

 スポットワークについても、日々紹介と同じサービスと位置づけられることがあります。広義では雇用契約ではない業務委託や請負契約で働く場合も含まれますが、いずれにせよ人材派遣ではないので違法とはなりません。

 ただし、気を付ける必要があるのは、労働者供給事業に該当する可能性です。労働者供給とは、雇用関係のない労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることを言います。日々紹介は斡旋する紹介事業者と労働者との間に雇用関係がないため、実質的には労働者供給事業に該当するのではないかと、かねて人材サービス業界内外から懸念が示されていました。

 労働者供給の場合、供給元と労働者との間にあるのは雇用関係ではなく支配従属関係です。労働者の自由意思を無視した強制労働や中間搾取が生じるなど、不健全な影響力が働く弊害が生じるおそれがあるため違法とされています。

 日々紹介やスポットワークも、もし紹介事業者と働き手の間に、支配従属関係が生じて不健全な影響力が働いてしまうと、細切れ契約や劣悪な条件で働かされ、ワーキングプアの温床となる危険性も否めません。しっかり注視しておく必要があります。

 また、直接雇用の場合であっても、現実には残業代未払いなど雇用管理責任が果たされないケースが多々見られます。派遣事業者の雇用管理責任が問題視されたのは、グッドウィルが不当に天引きしていたデータ装備費などの問題があったことが影響していますが、直接雇用だからといって、雇用管理責任が果たされることが保証されるわけではありません。

●短期間労働サービス、統一ルールの整備を

 一方、一部の悪質な事業者を除き、多くの人材派遣事業者はしっかりとした雇用管理を行っています。また、派遣事業者は日々紹介やスポットワークのように労働者との関係性が曖昧でなく、明確な雇用関係にあります。それらの実情を踏まえると、日々紹介やスポットワークは認められて日雇い派遣だけが原則禁止となっている状況こそ疑問です。

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