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2028年、街から書店が消える? “救世主”になるかもしれない「2つ」のビジネスモデル

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月15日 6時5分

 無人営業時の入店にはLINEを導入した。「LINEは幅広い世代に普及しており、最適なプラットフォームだと考えた」と、Nebraskaの共同代表である藤本豊氏は採用理由を説明する。

 トーハン経営企画部マネジャーの齊藤浩一氏によると、「小型店であれば初期費用は最小で100万円程度、月額費用も6万5000円」と、導入しやすい低コストモデルであることも特徴として挙げられる。

 利用状況について齊藤氏は、「夜は予想以上に利用があり、午前1時前後まで定期的に利用がある」と話す。一方で、「早朝は意外に少ない」という。

 また、顕著な万引被害増加や店内での迷惑行為も報告されていないほか、セキュリティ面では、LINEの認証が想定以上に効果を発揮している。「LINEが『デジタルの名札』のような役割を果たしている」(藤本氏)。

●MUJIN書店の導入で、5%程度の売上増

 トーハンによると、MUJIN書店の導入により、売上増加と販売管理費低減の同時達成が実証されている。齊藤氏は「結果的に5%程度の売り上げアップが見られた」と、導入効果を分析する。

 MUJIN書店の強みは、設備投資が必要最低限で済むことが挙げられる。無人化に必要な設備がコンパクトであり、導入も簡単にでき、低コストに抑えられるようにした。今後の展望としては、AIを活用した書籍推薦機能など、デジタルの接点を生かしたサービス拡充を検討しているという。

 齊藤氏は「MUJIN書店の仕組みがあれば、書店減少の問題が全て解決するわけではない」と語る。一方で、既存書店を維持し、人件費や地代の問題などで出店できなかったエリアでも展開できる可能性は高いと期待も寄せている。MUJIN書店は人手不足や収益性の低下に悩む書店業界に、新たな可能性を提示しているといえるだろう。

 無人化スタイル以外にも、書店のあり方を変革する取り組みも登場した。そのひとつが、シェア型書店の「ほんまる」だ。

●直木賞作家の今村翔吾氏が仕掛ける「ほんまる」

 書店業界の危機に対し、新たな動きが始まっている。そのひとつが、直木賞作家・今村翔吾氏が2024年4月27日に東京・神保町にオープンしたシェア型書店「ほんまる」だ。クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏がデザイン面を担当し、ブランディング向上に寄与している点でも注目を集めている。

 今村氏は「書店はイニシャルコストがかかるだけでなく、粗利率も低い。人件費や地代を考えると従来型の経営では立ち行かない」と指摘する。この認識が「ほんまる」誕生の背景にある。

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