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700万人が訪れた「びっくりドンキー」系列の“エコ”な観光施設 「いいこと」アピールしない哲学

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月23日 8時0分

 他にも、地中熱ヒートポンプを設置し、冷暖房に活用している。深度約100メートルまで掘削された孔内(穴)を使い、年間の温度変化が外気より少ない地中と熱交換することで、通常の空気熱源ヒートポンプと比べて省エネ効果があるという。

 施設に隣接する同社事務所の電力は、バイオガスプラントで発電する。びっくりドンキーで提供する「ドンキーハウスビール」などを製造する小樽ビール醸造所から発生するビールかす、生ごみ資材などをメタン発酵させ、回収したバイオガスを燃料に発電。隣接する事務所で使用する電力の約6割は、バイオガスプラントで発電した電力で賄う。

 「メタン発酵後の残渣(ざんさ)は液体肥料として牧草地に散布し、その牧草で羊を飼育する、といった循環の取り組みをしていることも特徴です。年間800立方メートルほどの液体肥料を製造しています」(葛西さん)

 資源循環や環境配慮の取り組みは、えこりん村だけで強化しているわけではない。アレフでは、食品廃棄物再生利用などの実施率が95%を超える(2022年度実績)。びっくりドンキー各店には「生ごみ処理機」を設置し、生ごみを一次発酵して資材に変えている。資材は全国の協力農場で堆肥化している。

 生ごみ処理の取り組みは1997年から開始。当初は1店舗1日当たり50キロほど生ごみを排出していたが、現状は食品ロスの低減活動の取り組み強化により20~30キロほどに減っている。

 「最近は小さいサイズを用意するなど、メニューの見直しもしました。びっくりドンキーは『大きい』『ガッツリ』というイメージがあると思いますが、そういったイメージにとらわれすぎず、ニーズの多様化に対応できるよう取り組んでいます」

 「一方で、当社は炊き上がり90分以内のものしか提供していないこともあり、どうしてもご飯が余ってしまいます。ご飯の廃棄は、現状もまだ課題ですね」(青木さん)

●びっくりドンキー感がないのはなぜ?

 同社がえこりん村を運営する中で、2つ重視することがある。

 1つ目は体験を通じて伝えること。実際に手や体を動かし、来場者に体験してもらうことを意識している。2つ目は、楽しそうにすることだ。

 企業のSDGsに対する取り組みは、消費者や顧客に認知されればそれで良いのでは? という考え方もあるが、そもそも同社はえこりん村で、そこまで自社のSDGsに関する取り組みをアピールしていない。

 「『うちの会社はこんな良いことをやっているんだ』と伝えたいわけではないんです。本当に地球環境を心配しているから、多くの人にまずは環境問題を自分事化してもらいたいと考えています」(青木さん)

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