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なぜ今? セブン&アイ買収提案、外資大手クシュタールの狙いとは

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月11日 6時45分

●国内コンビニ業界の再編とクシュタールの選択

 コンビニ業界にとって、アジア市場は依然として成長の余地が大きい。クシュタールにとってこの地域での存在感の向上は重要な課題である。セブン&アイの買収が実現すれば、アジア市場での競争優位性を飛躍的に高められるだろう。

 一方で、国内のコンビニ業界も足元で再編が進んでおり、これが今回の買収提案の背景にある可能性も否定できない。実際、セブン&アイ以外の主要コンビニチェーンであるローソンやファミリーマートは、すでに上場廃止を決定している。例えば、2020年には伊藤忠商事がファミリーマートを完全子会社化し、2024年にはKDDIと三菱商事が共同でローソンをTOB(株式公開買い付け)で買収したことが記憶に新しい。

 ローソンやファミリーマートはいずれも商社系のコンビニブランドであり、上場廃止により特定の企業グループ内での独立性と安定性を保ち、外部からの敵対的買収リスクを大幅に軽減している。これにより、経営の自由度が高まり、株主の短期的な要求から解放され、より長期的な視点で成長戦略を描くことが可能となった。

 こうした状況下でクシュタールが日本市場への進出を考える際、同社にとって実質的な選択肢はセブン-イレブンしかなかった。ミニストップやポプラなど他の上場コンビニチェーンも存在するが、ミニストップの時価総額は500億円程度しかなく、ポプラの時価総額は26億円とさらに小さい。このため、クシュタールにセブン-イレブンの規模と影響力は、他の選択肢に比べて圧倒的に魅力的に映ったことだろう。

●関係省庁の対応は

 クシュタールによるセブン&アイの買収提案は、日本市場においても大きな影響を及ぼす可能性がある。SNSなどでは、クシュタールによる買収提案に対して、不安や懸念を抱く声も少なくない。

 特に、日本政府や規制当局の対応が今後の焦点となるだろう。日本政府は、外資による国内の重要企業の買収に対して一定の規制を設けており、特に経済安全保障や国民生活の安定という観点から、国内市場の安定性を維持するための措置を取ることがある。

 セブン&アイが外資に買収される場合、政府がどのように対応するかは、対内直接投資管理制度に基づいて慎重に判断されるだろう。クシュタールが買収を完了した場合、事後報告が求められる可能性が高く、その後、財務省や経産省などの関係省庁が問題を発見した場合、株式売却命令などの措置が取られることも考えられる。

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