1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

なぜ今? セブン&アイ買収提案、外資大手クシュタールの狙いとは

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月11日 6時45分

 セブン&アイの経営陣はこの提案にどのように対応するのか。同社は日本国内で強固なブランド力を持ち、経営基盤も安定しているが、国内市場の成長が鈍化する中で、グローバルな展開を進める必要性が高まっている。企業価値の最大化のため、買収提案に応じる可能性はあると見て良いだろう。企業価値を最大化するための選択とその根拠について、株主や従業員、消費者に対して透明性のある説明を行うことが求められる。

●ダブルスタンダードと国際競争力

 興味深いのは、日本企業が海外企業を買収する際には、国際的な競争力の強化や成長市場への参入といった正当な理由が強調され、国内での反対意見は比較的少ない点である。

 例えば、日本製鉄がUSスチールの買収を検討する場合、これは国際的な地位を高めるための戦略として評価されるだろう。しかし、今回のように外国企業が日本の象徴的な企業を買収しようとすると、経済主権の侵害や国内産業の衰退を懸念する声が高まる。このダブルスタンダードは、国際的な視点を欠いた内向きな思考の表れとも言える。

 日本企業が海外で成功を収めることが奨励されるのであれば、同様に外国企業が日本市場に参入し、日本の企業や産業を活性化させる機会も歓迎すべきだろう。今回のセブン&アイに対するクシュタールの買収提案は、日本企業に対する国際的な評価が高まっている証拠でもある。これをポジティブに捉えることで、日本企業が国際市場で魅力的であることを示す機会とするべきだ。

 また、セブン&アイはこの買収提案に対して、単に受け入れるか拒否するかという選択肢だけでなく、他の戦略的なオプションも検討する必要がある。

 例えば、買収提案に対抗する形で、他の外資系企業や国内企業との提携、さらには自社によるM&Aを進めることで、企業価値を向上させる道も考えられる。特に、株主の動向を注視しながら、経営陣がどのようなアクションを取るかは、今後の会社の命運を大きく左右することになるだろう。

 買収提案を拒否するにしても、セブン&アイは株主に対してクシュタールに売却することで得られる値上がり益を放棄してもなお現状維持の判断が好ましかったと業績で応えていくことが求められる。

 つまり今回の買収提案は、成立するか否かにかかわらずセブン&アイにとって重要な局面であることに違いない。今後の展開に注目が集まる。

●筆者プロフィール:古田拓也 カンバンクラウドCEO

1級FP技能士・FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックベンチャーにて証券会社の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、2022年4月に広告枠のマーケットプレイスを展開するカンバンクラウド株式会社を設立。CEOとしてビジネスモデル構築や財務等を手がける。Xはこちら

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください