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Amazonファーマシー、日米でどう違う? 比較から見える「ビジネス巧者ぶり」とは

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月16日 7時10分

●米国のオンライン薬局事情

 米国のオンライン薬局は急速な成長を見せています。2023年の927.2億ドルから2024年には1088億ドルに拡大すると予測されています。これは、薬局市場全体の約20%を占める規模となっています。

 この急成長はコロナ禍以降定着した部分が多く、CVSやWalgreenといった大手ドラッグストアが店舗を閉鎖して集約する動きをしている一因です。そもそも米国ではリフィル処方箋制度が定着しており、アプリやWebサイトを通したリピート注文は一般的なサービスです。米国でのAmazon Pharmacyはこのサービスへの後発参入です。

 ここで、リフィル処方箋制度について、少し詳しく触れたいと思います。リフィル処方箋とは、一定の定められた期間内に反復使用できる処方箋のことで、患者が医師の再診を受けることなく、処方箋1枚で繰り返し薬局において薬を受け取ることができる処方箋です。

 病状が安定した患者において医師が期限を決めて処方箋を書き、その期限内であれば薬剤師のモニタリングの元に、その都度繰り返し調剤が行われます。薬剤師はモニタリング結果を薬歴や調剤録に記録をとり、薬剤師が再受診を必要とすると判断した場合は、調剤は行われず主治医に受診勧奨を行うという、薬剤師によるモニタリングを前提とした仕組みです。

 患者にとっては医師のもとを訪れる手間が省け、医療費削減にもつながるメリットがあります。医師のメリットは治療が必要な患者に専念することができ、負担が軽減されることにあります。

 日本では、2022年4月の診療報酬改定で導入されましたが、現時点では十分に活用されていない状況です。2022年10月時点で総受付件数に対するリフィル処方箋の割合は0.102%でした。

●価格設定と保険制度

 価格設定においても、両国で大きな違いがあります。米国のAmazon Pharmacyでは競争力のある価格設定を行っています。特にPrime会員向けの送料無料サービスは、会員にとって魅力的です。

 一方、国民皆保険の日本は国が定めた保険調剤の公定価格となります。つまり、どの薬局で購入しても薬代自体は大きく変わりません。ただし、配送料に関しては薬局ごとに設定が異なるため、ここに若干の価格競争の余地があります。

●配送サービスと会員サービス

 米国のAmazon Pharmacyは、Amazon自身の経営する薬局からの出荷です。Amazonの強力な物流ネットワークを生かし、効率的で迅速な配送サービスを提供しています。この点が、日本のサービスとの大きな違いの一つとなっています。

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