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Amazonファーマシー、日米でどう違う? 比較から見える「ビジネス巧者ぶり」とは

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月16日 7時10分

 米国では、Amazonの既存の物流インフラを最大限に活用し、一部の都市では同日配送も実現しています。

 最も革新的なのは、テキサス州カレッジステーションで始まったドローンによる処方薬の配送です。これにより、注文から60分以内という驚異的なスピードでの薬の配達が可能になりました。また、渋滞が激しいニューヨークではeバイクを使用した配送も行っています。

 一方、日本のAmazonファーマシーでは、配送は各薬局が担当します。そのため、配送のスピードや料金は薬局によって異なり、米国のAmazonのような統一された高効率な配送システムにはなり得ません。代わりに、店頭での受け取りも選択できるのは特徴といえるでしょう。

 この配送システムの違いは、両国のサービスの本質的な違いを反映しています。米国ではAmazonが直接薬を販売・配送しているのに対し、日本ではAmazonはあくまでプラットフォームの提供者に現時点では留まっているのです。

 米国のAmazon Pharmacyでは、Prime会員向けに特別なサービスを提供しています。例えば、処方薬の割引や無料配送などがあります。これは、既存のAmazonの顧客ベースを活用して医薬品市場に参入する戦略の一環です。

 日本のAmazonファーマシーでは、現時点でPrime会員向けの特別なサービスは提供されていません。これは、前述の通り薬の価格が固定されていることや、Amazonが直接薬を販売していないことが理由として考えられます。

●データ活用とAI技術の導入

 米国のAmazon Pharmacyでは、AWS Supply Chainを用いた高精度の需要予測により、在庫管理や人員配置の最適化を図っています。処方箋受付から出荷まで、処方箋の全行程にわたっての需要を予測する精度がこれにより50%向上しました。

 需要予測精度の向上は在庫管理から顧客サービスまで、ビジネスのあらゆる面に好影響を及ぼします。また、AIアシスタントのAlexaを活用した服薬リマインダー機能なども開発しています。

 日本のAmazonファーマシーでは、現時点でこのような高度なデータ活用やAI技術の導入は見られません。ただし、オンライン服薬指導のプラットフォームとしての機能を生かし、将来的にはデータ分析やAI技術を導入する可能性があります。

 結論として、米国と日本のAmazonファーマシーは、同じ名前を冠していても、その実態は大きく異なります。これは両国の医療制度の違いによるところが大きいですが、同時にAmazonが各国の状況に合わせて柔軟にビジネスモデルを適応させていることの表れでもあります。

 今後、日本のAmazonファーマシーがどのように発展し、医療サービスの利便性向上にどのように貢献していくのか、注目していく必要があるでしょう。

 Amazonファーマシーの登場は、日本の医療サービスのDXを加速させる一つのきっかけとなるかもしれません。その行方を見守りつつ、患者にとってより良い医療サービスの在り方を考えていくことが重要です。

 (著者:郡司昇)

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