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子どもが“経営者”になる? 3万円の「野菜栽培キット」仕組みが面白い

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月27日 6時10分

●課題も見えてきた

 ユニコーンラボを販売して、まだ数カ月しかたっていないが、想定外のことも起きている。子どもの「売り上げ」だ。夏休みに入った子どもたちの活動が活発化していて、7月の平均収入は3360円。小学生のお小遣い平均の3倍ほどを稼ぐようになっているのだ。

 その一方で、課題も見えてきた。アプリに「みんなの広場」という子ども向けのSNSがあって、「枝豆が売れた。〇〇円」といったことが書かれている。それを見た子どもたちは「自分の枝豆も、〇〇円で売れるのか」となって、その価格で販売しているケースもあるようだが、このSNSを利用しているのは2~3割にとどまっている。

 永野さんは「もっとたくさんの子どもたちに利用してほしい」と思っているが、悩ましい問題も。SNSに慣れていない小学生に向けて、「もっと使ってね」と訴えてもなかなか響かないのではないか。「小学生=SNSはまだ早い」という親からすれば、「ここには参加してほしくない」と考えているかもしれない。

 「いいね」ボタンを搭載したり、「フォロー」の機能を付けたりすれば、SNSは活性化するかもしれない。参加者の中から「インフルエンサー」が生まれるかもしれない。しかし、コメントが荒れる可能性もあるので、たくさんの人に利用してもらいたいが、現時点で機能は限定的にせざるを得ない状況である。最適な方法を模索していて、しばらくは様子を見ながらの運営になりそうだという。

●「我慢、節約、親への媚び」からの脱却

 ユニコーンラボの使い方として、子どもたちには「お小遣い制」を放棄してもらうわけだが、決められた額のお小遣いをもらっている子どもはどのくらいいるのだろうか。金融広報中央委員会の調査によると、小学生の約70%、中高生の約80%がもらっているという。

 しかし、お小遣いをもらっても「今月はちょっと足りないなあ」となれば、対応策は3つしかない。我慢、節約、親への媚びである。こうした現状に対して、永野さんは「子どもの成長に必要な創意工夫が生まれないのではないか」と指摘する。であれば、お小遣いを廃止にすることで、さまざまな才能が育つかもしれない。商品を通じて「自立と工夫の原体験をつくってほしい」(永野さん)という願いがあるようだ。

 事業を継続させるために、直近の売り上げや利益も大切だが、永野さんはもうひとつ楽しみにしていることがある。ユニコーンラボを使った子どもたちが、どのように成長していくかである。

(土肥義則)

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