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イオンが手掛けた“謎の百貨店”「ボンベルタ」 密かに姿を消した理由とは?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月20日 7時20分

 イオンは2003年11月に同業流通大手のなかでも高級路線を採っていた「マイカル」を完全子会社化。経営破綻が相次ぐ地方百貨店の受け皿として、イオン系商業施設でもオンワードの「23区」「組曲」といった百貨店アパレルがみられるようになった。

 また、2006年3月の「オリジン東秀」買収にあわせて、同社のノウハウを生かした総菜新業態を立ち上げ、新店舗では銘菓総菜ともにデパ地下を意識した配置に移行。同年4月のイオン高知を皮切りに提案型衣料品フロア「イオンスタイルストア」を展開するなど、地方百貨店と遜色ないグレードの高いフロアを実現しつつあった。

 ダイヤモンドシティは2005年11月の三越との業務提携発表当時、「今まで以上に市場性を加味したSC(ショッピングセンター)の性格付けやモール専門店の構成など、MD(マーチャンダイジング、商品政策)面でのさらなる向上」を挙げており、一連の試みはイオンの高質化に大きく貢献したといえる。

●「脱百貨店」路線が鮮明に

 イオン自体が高質化する一方、デパートメントストア事業に属していた「ボンベルタ成田」のセグメントは、2007年11月に橘百貨店(ボンベルタ橘)がイオングループから離脱したことで「専門店事業」扱い、2010年2月期には「総合スーパー事業」扱いとなるなど曖昧となってゆく。

 2012年春の全館リニューアルでは、自社独自の会員カード「BonBeltaWAON」の発行による顧客のロイヤルカスタマー化を狙った一方、総合スーパー業態と同等の売り場を大幅に拡大。2018年9月には新たなコンセプトとして「新発見×再発見」を掲げ、1階に「イオンドラッグ」「ホームコーディ」といったイオン直営店、3階に「マックハウス」「ABC-MART」「Seria」といった大型専門店を段階的に導入するなど、脱百貨店路線が鮮明となる。

 開業当初からの特徴であった正面玄関前の化粧品フロアや高級衣料フロアは2階に集約するかたちで存続となったが、コロナ禍でオンワードHDが約1400店舗を閉鎖、レナウンが経営破綻した影響を受け、「23区」「自由区」「ダーバン」「シンプルライフ」「イーストボーイ」といった集客力の高い百貨店アパレルを喪失することとなった。

 ボンベルタ成田も北総地域で唯一の百貨店として高齢層を中心に支持を得ていたというが、純利益3億円程度の赤字が続くなど経営状況が芳しくなく、イオンリテールへの吸収合併と新業態「そよら」旗艦店への転換のため、2024年2月28日をもって歴史に幕をおろした。

 イオンにとってボンベルタ業態の位置付けが曖昧となっていたこと、日本百貨店協会加盟店のみ百貨店と認識されている状況もあり、同店の閉店は他百貨店ほど報道されることはなかった。

 後編では、ボンベルタに代わる新業態「そよら」の行方を追う。

(著者:淡川雄太/都市商業研究所)

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