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押し寄せる外国人観光客は、本当にカネを落としているのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月3日 8時0分

押し寄せる外国人観光客は、本当にカネを落としているのか

急増するインバウンド客(写真はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 少し前までインバウンド関連のニュースと言えば、人口減少で伸び悩む日本の個人消費を支えてくれる救世主的な存在としてのニュアンスが多かったと思うが、最近は異なる側面からの取り上げ方が増えているような気がする。コロナ禍の間、あれほど待ち望んでいたインバウンド客だが、5類移行後、一気に過去最高のペースで訪日客が訪れるように。受け入れ態勢も整わない中で、オーバーツーリズムが各地で発生している。

 最近では、インバウンド客が増えすぎたことで、観光地の地域住民とのトラブルについての報道も増えているようだ。中でも、山梨県富士河口湖町が、インバウンド客に人気の「富士山ローソン」に目隠しの幕を設置したというニュースはご存じの方も多いだろう。インバウンド客が殺到したことで、ごみのポイ捨てや車道へのはみだしなど、迷惑行為に対する地元住民の苦情が相次いだことから、撮影が出来ないように自治体が措置したらしい。

 こうしたインバウンド客の迷惑行為に対する地元住民の苦情は、有名観光地では無数に発生している。この手の話では、「写真を撮ったらそのまま帰ってしまって、カネを落としてくれるわけでもないのに迷惑だ」というニュアンスも多分に感じられる。現状、インバウンド需要は経済的に貢献していると、本当に言えるのだろうか。多角的な視点でデータを分析してみた。

●インバウンド需要は経済的に貢献している?

 観光庁が発表する統計資料では、訪日客数、消費額、国別の動向などについてかなり細かいデータが集計されている。これによると、インバウンド需要の動きはおおむねイメージ通りの推移で拡大してきたことが分かる(図表1)。

 2019年まで訪日客数も消費額(旅費、飲食費、買い物など全ての合計)も増加してきたが、2020~2022年までコロナ禍によって一時ほぼ消滅。その後、5類移行によって2023年の消費額はコロナ前を超えた。2024年は上期の状態が持続すると想定すれば、訪日客数、消費額ともに過去最高を更新することがほぼ確実な状況にある。訪日客数が増えているだけではなく、一人当たりの消費額もコロナ前を大幅に上回っており、ありがたいお客さまなのである。

 国別でみると、かつて爆買いと言われた中国への依存度は低下した。コロナ前は中国36.7%、台湾11.2%、韓国9.7%だったが、中国20.7%、米国13.0%、台湾12.4%、韓国10.4%となり、アジア諸国、豪州、欧州各国に分散している。

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