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「南海トラフ臨時情報」への対応を検証せよ 経営層が備えるべきBCP「4つの視点」

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月30日 21時50分

 このほか、イオンでは全国の店舗に、棚の固定や商品などの落下防止策が取られているか確認するよう指示をした。ローソンは沿岸地域の店舗に避難場所を再確認するよう呼びかけた。東芝は、国内従業員に対し、安全確保に関するマニュアルを日本語と英語で周知した。日本製鉄は消火設備の点検や避難誘導通路の確認など、地震対応を再確認した。こうした事例も参考に、自社がとるべき行動を検討しておくことが重要だ。

●検証の方法 アフターアクションレビュー

 まずは、各企業において、今回の臨時情報への対応を振り返る必要がある。検証の方法はさまざまだが、欧米を中心に取り入れられているAfter Action Review(AAR、アフターアクションレビュー)の方法は参考になる。やり方は簡単だ。(1)そもそも自社としては、臨時情報に対して、どのような計画を定めていたのか、(2)実際はどう対応したのか、(3)何が課題になったか、(4)うまくいったポイントは何か、これら4つの視点から、一連の対応を振り返る。その際、従業員への注意喚起、出社体制(在宅勤務など)、出張、など対応項目別に検証してみると整理しやすい(スライド1~3)。

 例えば、従業員への注意喚起なら、(1)どのような対応計画を定めていたか(例:臨時情報(調査中)が発表された時点で、全従業員に対して防災レベルを高めるよう呼び掛ける計画だった、など)(2)実際は、どう対応したのか(例:社内で緊急に対応を協議した上で、翌日、全従業員に対して注意喚起した、など)(3)課題は何だったか(例:注意喚起のタイミングがあいまいだった。注意喚起の文言が分かりにくいものとなっていた、など)(4)うまくいったポイントは何か(すぐに役員から承認を得られた、など)。もちろん、そもそも何も考えていなかったなら、そのまま(1)は「何も考えていなかった」と記入をすればよい。

 要は、なぜそのような行動をとったのかを明らかにするとともに、課題があったならそれを改善し、同じ轍を踏まないようにするとともに、評価できる点は今後誰がやっても同じようにできるようにすることで、確実に組織としての対応力を向上させるというのがAARの目指す姿である。

 対象期間やメンバーを明確にすることも重要だ。対象期間は、臨時情報(調査中)が発表されてからを対象にするのか、終了後の対応までも含めるのか。対象メンバーについても、特定の事業部・役職だけにするのか、全従業員にするのか、などを決め、その上で複数回に分けて検証する場合は、検証スケジュールを作成する。今回は連休前で夕方だったが、もし繁忙期だったら、夜間だったら、など条件を変えて考えてみることも大切だ。検証を終えたら、それらを踏まえ臨時情報への対応計画をまとめてみるとよい(スライド4)。

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