1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

テレワーク継続で「社員に優しくしたのに」不満がなくならない……企業が見落としているコト

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月25日 10時10分

落とし穴(1)根源欲求を満たすだけで終わっている

 従業員のウェルビーイング向上を図る際は、「マズローの欲求階層説」を念頭に置いておきたい。

 米国の心理学者であるアブラハム・マズローは、下図のように、人間の欲求を5段階に分類した。ピラミッドの下に位置する低次の欲求から満たしていくことで、1つずつ上の段階の欲求が生じるようになるというのが、マズローの欲求階層説の考え方だ。

 ウェルビーイング経営がうまくいかない典型的なパターンが、従業員の生理的欲求や安全の欲求など低次の欲求(根源欲求)を満たすことに終始し、その先にある承認欲求や自己実現の欲求にアプローチできていないことである。これでは、従業員の幸福実現を支援することはできない。

 例えば、定期的なストレスチェックで従業員の健康増進を図っている企業は多いだろう。もちろん重要な取り組みではあるが、それだけで終わっていたら意味がない。健康面や給料面で一定の充足が得られていても、従業員は「会社にどのように貢献をすれば良いのか」と悩んだり、また「日々の頑張りがなかなか認められない」と不満を抱えたりしてしまう。

 従業員の承認欲求や自己実現の欲求まで満たすことができなければ、本当の意味で、ウェルビーイングを実現することはできないということだ。

落とし穴(2)成果に接続できていない

 「ライフスタイルに合わせて柔軟に働きたい」「集中できる時間に働いて生産性を高めたい」といった従業員の要望に寄り添うため、フレックスタイムや時差出勤を導入している企業は多いだろう。しかし、出勤時間がバラバラになることでリアルタイムの情報共有が難しくなり、意思決定に時間がかかるようになるなど、問題が生じるケースも少なくない。

 また、コロナ禍にはリモートワークが一般化したが、5類移行した時期を境に「オフィス回帰」の動きが加速している。リモートワークによってメリットを享受できている企業がある一方で、コミュニケーション頻度が減少したことでミスが増加したり生産性が低下したりするなど、デメリットが上回ってしまっている企業もある。

 ビジネスの成果に接続できていない場合は、どんなウェルビーイング施策も長続きしない。

●「企業の成果創出」と「個人の欲求充足」を同時に実現する

 このような落とし穴を避けるには、どうしたら良いのだろうか。ウェルビーイング経営を推進する上で肝に銘じておきたいのが、「企業の成果創出」と「個人の欲求充足」を同時に実現することである。いわば「One for All, All for One」の状態だ

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください