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経団連副会長に聞く日本企業の人材育成の課題 社員のリスキリングが伸び悩む背景は?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月23日 18時55分

 日本企業はこれまでOJTなどの、会社にとって必要な研修やそれに向けた支援を実施してきました。今後は会社にとってだけではなく、個人のライフプランにおいてもプラスになる二面性を考え、実践する必要があると思います。

――とは言っても、企業は自社の利益を追求する存在です。企業が社会全体を考える必要が本当にあるのでしょうか。

 企業が利益を追求して、その業界のナンバーワンを目指す。これは大事なことだと思います。しかしこれからの経営者に求められることは、業界のナンバーワンを目指すことに加え、世界のオンリーワンを目指すことだと思います。

 オンリーワン企業というのは、世界でもその企業にしかない技術や資産、人材を持った企業のことを言います。オンリーワン企業はさまざまなイノベーションを起こし、またインベンション(発明)を作り上げていかなければいけません。

 企業がイノベーションやインベンションを起こす人材を常に擁するためには、既存の事業ポートフォリオをただ10年20年続けていくだけでは不可能です。社会全体を考えて、新たな事業ポートフォリオ、新しい産業や市場、商品を作っていかなければなりません。企業が、いろんな能力や経験、発想を持った人材を抱えていくことが、オンリーワン企業になるための要素だと思います。

――早稲田大学での講演で小路会長は「日本企業は同質性や多様性に課題があり、これがリスキリングにも悪影響を与えている」と話しました。ただ日本企業も多様性を年々意識し始め、少しずつ改善されつつあるように思います。近年の動きを、どう評価していますか。

 昨日と今日を比べて、今日のほうが良くなっているから良いという問題ではありません。よく「2040年問題」という言葉を、いろいろなメディアでも耳にします。政府も「2040年に向けて」という話で、15~16年後の日本社会の経済や、人々の生活がどうあるべきかを試算し、国家戦略を練っています。これによると、2040年の日本というのは、今とは比べものにならないグローバル社会になっています。

 人口減社会の中、移民政策がどうなるかは分かりません。しかし、留学生の数は年々増え続けていて、政府は2033年には、留学生の受け入れを40万人、日本人の留学生を海外に50万人送り出すという目標を打ち出しています。日本人として留学する人も、受け入れる海外からの留学生も増えていきます。

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