米ファンド傘下になったケンタッキー マクドナルドに劣る「重要な課題」を乗り越えられるか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月9日 6時15分
カーライル傘下で日本KFCはどうなる?
創業以来、三菱商事の傘下でケンタッキー事業を展開してきた日本KFCホールディングスが、TOB(株式公開買い付け)によってカーライル・グループの傘下に入った。カーライルといえば、過去に居酒屋チェーン「はなの舞」で知られるチムニーや、沖縄地場のオリオンビールを買収した米ファンドであり、バイアウト投資を得意とする。2000年代の低迷を打開しコロナ禍で業績が伸びた日本KFCはまだ課題も多いが、今後どのように生まれ変わっていくのだろうか。
●「特別感」が先行し、デフレ時代に苦戦
日本KFCの歴史は、三菱商事が米国でケンタッキー事業を展開するケンタッキー・フライド・チキン・コーポレーションと折半で日本法人を設立し、1970年11月に名古屋で国内1号店を開店したところから始まった。当初は米国と同じくロードサイドで出店したが、なかなかうまくいかず、軌道に乗り始めたのは東京・青山店のオープンからだ。その後、1992年に1000号店を開店し、現在は約1200店舗を展開している。
1990年代は順調に店舗数を拡大した日本KFCだが、2000年代に入ってからは低迷が続いた。同社のチェーン全店売上高は1100億円前後で横ばいに推移し、店舗数も1000を超えてから頭打ちとなったのである。
主な理由はデフレ時代で同社の割高感が目立ったためだ。テレビCMの影響もあり、クリスマスなど特別な日に利用するチェーンとして定着した一方、日常的な利用を訴求できなかった。コンビニがホットスナックとして注力しているチキンの台頭も一因といわれている。
しかしながら2019年3月期以降は停滞を打開し、業績も伸び始めた。コロナ禍での成長が著しく、2020年3月期から2024年3月期における日本KFCホールディングスの業績は次のように推移している。
売上高:796億円→896億円→975億円→999億円→1106億円
営業利益:47億円→63億円→61億円→36億円→58億円
店舗数:1133→1138→1172→1197→1232
●成長のきっかけは「エブリデイブランド」
日本KFCにおける近年の成長は、テークアウトとの相性の良さをはじめとした、コロナ禍でも逆風を受けにくかったファストフード業態であることが主な要因だ。加えて、普段利用を促す「エブリデイブランド化」の取り組みも奏功したといえる。
2018年に期間限定で当時500円の「ケンタランチ」を発売し、ランチ利用における売り上げを伸ばした。もちろん現在は500円から値上げしているものの、単品で頼むより150円前後割安である。また、500~1000円近くも安くなるバーレルなどの商品も人気をけん引した。
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