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米ファンド傘下になったケンタッキー マクドナルドに劣る「重要な課題」を乗り越えられるか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月9日 6時15分

 そんな日本KFCも、冒頭の通り経営権がカーライル・グループへ移ることになった。2月末に当時株の35%を握っていた三菱商事による売却方針が明らかとなり、その後5月21日から7月9日にかけてカーライル・ファンド傘下のクリスピーがTOBを実施し、市場から日本KFC株を買い占めた。三菱商事からカーライルへの譲渡は9月の予定で、買収総額は1300億円となる。

 確かに近年の業績は回復したとはいえ、日本KFCの存在は三菱商事にとって重荷になっていた。同社における小売事業の資産効率は資源やモビリティといった他事業より低く、規模も小さい。拡大の余地がないと判断されているのか市場の評価も低く、他の外食大手と比較して株価もパッとしなかった。1000店を超える飲食チェーンで約1400億円(TOB実施時)という時価総額は小さい印象がある。

●「はなの舞」やオリオンビールを支援してきた

 カーライル傘下に入った日本KFCは今後、どう生まれ変わるのだろうか。日本法人であるカーライル・ジャパンは2000年に設立し、以降は国内でバイアウト投資を行ってきた。バイアウト投資とは、ある企業を買収して改革し、企業価値を高めてから売却することで利ざやを得る投資方法のことだ。公式Webサイトによると、カーライルではこれまで日本で約40社、4500億円を超える投資を行ってきたという。

 具体例を挙げると2009年に居酒屋「はなの舞」で知られるチムニーに出資してMBOを支援し、2012年に再上場させた。この間の差額で100億円弱の利益を得たと言われる。チムニーの改革では会計や食材在庫の徹底管理、調理技術の向上など、突飛な施策ではなく基礎を固める施策を行った。

 2019年には野村ホールディングスと共同で沖縄のオリオンビールを買収し、現在は将来的な上場を目指して改革を行っている。オリオンビールはカーライル傘下でECサイトのリニューアルや海外販路の強化を進めたほか、倉庫の効率化やシェアオフィス活用による東京支社の閉鎖といった地味な取り組みも行った。米ファンドと聞くと手荒い印象もあるが、カーライルは一見すると当たり前のような施策で傘下企業の改革を進めてきたのだ。

●2つの課題をどう乗り越えるか

 カーライルは、日本KFCについても同様に、企業価値を高めてから再上場を目指すことになるだろう。現在の課題を解決する形で改革が進みそうだ。

 日本KFCが抱える課題の一つがDXの遅れである。競合であるマクドナルドは無人オーダー機やセルフレジを積極的に導入。特にモバイルオーダーの定着化は店舗の効率化につながった。対する日本KFCは遅れている印象がある。業態こそ違うが、松屋は券売機を設置したセルフ式店舗を展開、すき家・吉野家も後に続く。人手不足の昨今、こうした施策は急務になるだろう。日本KFCは以前よりセルフ式店舗を増やしているが、今後加速するかもしれない。

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