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AIが生成した文書は「手抜き」なのか? ”拒絶”する前に押さえたいポイント

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月30日 8時30分

 つまり、市民からの問い合わせや申請の中に、生成AIを利用して作成された文書が含まれていることを想定しておく必要があります。

 実際、私が関与している自治体では、事業者から提出された提案資料の中に、生成AIを活用して作成されたと思われるものが散見されます。もっとも、生成AIで生成された文章は「前半で結論、中盤でその説明、末尾にまとめ」という構成を取ることが多く、言葉の言い回しにも無機質な印象を与えるものが多いので、私自身がそういう文章に敏感になっているだけなのかもしれませんが。付記しておくと、このような構成の文章は「人を説得するため」に書かれる提案資料には不可欠なので、構成そのものや言い回しがダメという意味ではありません。

 不思議なのは、その事業者に対して「この提案資料は生成AIを使って書きましたか?」と尋ねると、どの事業者も「いいえ、使っていません!」と強く否定するのです。もしかすると、生成AIの利用=手抜き、という印象が強いのかもしれませんね。

 ここで、以前の私の記事の論点をおさらいしておきましょう。生成AIからの回答は単なる「意見」に過ぎず、それらの意見を慎重に検討し、最終的な判断を下すのは人間の重要な役割である、というお話でした。

 これに基づいて、提案資料の事例で考えると、最終的な成果物が人間の判断を経て作成されたものであれば、その過程で生成AIを活用しようが、ゴーストライターの助けを借りようが、作成プロセスだけでその提案の優劣を判断するのは適切ではなく、提出された成果物を発案者自身の提案として扱うべきだと考えます。

 生成AIの利用を「手抜き」と捉えるか「業務効率化」と評価するかは、意見が分かれるところです。感情面では提案自体に真摯(しんし)さが欠けているという印象を与えかねないことから、現時点では生成AIを活用していることを積極的に主張するメリットは少ないかもしれません。ただし、この認識は今後、技術の進化や社会の受容度に応じて変化していく可能性があります。

 事業提案を審査する行政機関の立場からも、生成AIを活用する可能性が広がっています。具体的には、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)という技術を活用しています。この手法では、まず提案資料を生成AIに事前に読み込ませ、あらかじめ設定した審査基準に基づいて、AIに提案内容の適合性を分析させることができます。

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