1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

ウイスキー蒸溜所「1万円ツアー」が盛況 サントリーが強気の値付けでも、満席が続く理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月10日 8時15分

 仕込みの量が減って、蒸溜の頻度が減少して、製品にしても在庫が余って……。繰り返しになるが、苦しい状況が2~3年という話ではない。四半世紀も続いたが、そうした中でも「蒸溜所を見学したい」人のために、扉は開けたままでいたのだ。

 その後、2000年代に入って、ハイボール人気が高まることで、市場はじわじわ回復することに。売り上げの数字を見ると、ピーク時の半分といったところだが、蒸溜所では原酒の飲み比べツアーなどを実施することによって、来客数が少しずつ回復していったのだ。

●好調の要因は3つ

 山崎の来場者は高止まりが続いていて、白州はまだまだ伸びしろがある。ウイスキー蒸溜所の広報を担当している正田恵さんは、好調の要因を「3つ」挙げる。

 1つめは、ウイスキー市場が伸びているから。「人気のウイスキーがどのようにつくられているのか」「蒸溜所でちょっと飲んでみたい」といった声があって、ツアーに参加している人が増えているようだ。

 2つめは、100億円規模の改修を実施したから。山崎と白州で2023年から大規模改修を行っていて、「どのように変わったのかな」「リニューアルした施設を見たい」といった理由で、足を運ぶ人が増えているようだ。

 3つめは、案内スタッフのスキルが向上したから。筆者も案内スタッフと話をする機会があったが、とにかく詳しいのである。ウイスキーに関する知識が豊富で、ちょっとマニアックな質問に対しても、きちんと説明してくれた。

 ウイスキーのつくり手でもないのに、なぜ詳しいのか。背景に「コロナ禍」が関係しているそうだ。「新型コロナの感染が広がって、蒸溜所も受け入れが難しい状況が続きました。案内スタッフは案内したくてもできない日が続いたので、であればその時間を使って、スキルの向上に取り組みました。ウイスキーに関するさまざまなことを習得したことによって、多くの来場者の満足度が高まったのかもしれません」(正田さん)とのこと。

●「1万円の見学ツアー」が人気

 冒頭でちらっと紹介したが、個人的に気になっているのは「1万円の見学ツアー」である。抽選に当たれば、このツアーでしか立ち寄れない製造エリアやつくり手が作業している様子を見学できる。またテイスティングなども楽しめるので、ウイスキーファンにとってはたまらない企画なのだろう。

 しかし、価格は1万円である。工場見学は「無料」の看板を掲げているところが多いのに、なぜ1万円のツアーを実施しているのか。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください