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生成AIは銀行員に代われるか? 顧客対応、コンプラチェック――進む金融業界の活用事例

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月30日 6時0分

 では、実際にどのLLMが多く使われているのか。OpenAIのGPT-4の競合であるAnthropicのClaudeが利用できるのがBedrockの強みの一つだ。飯田氏は「Claudeを使っているお客さまが非常に多い」としつつ、「最近は、複数のLLMを使い分ける取り組みや、オープンソースのLLMと組み合わせて使う例が増えている」という。

 この背景には、LLMごとの特性とコストの違いがある。例えば「検索では(カナダのAI企業が開発したLLMである)Cohereを使い、まとめる作業ではClaudeを使う」といった具合だ。

 さらに「低コストなLLMに大規模なトークンを投入して情報を圧縮し、その後に高度な生成を行う」という段階的なアプローチも見られる。これにより、生成AIの利用に関わるコストを大幅に削減できるという。

 他のクラウドプロバイダーに対する優位性について、飯田氏は自信を見せる。「AWSは多くのエンタープライズ企業で既に利用されている。業務アプリケーションを動かすベースとして選ばれている実績がある」

 では実際にAWS上で進んでいる、金融向け生成AI技術の実装を見ていこう。

●顧客対応・コミュニケーション最適化

 金融業界における生成AI活用の第一の柱が、顧客対応とコミュニケーションの最適化だ。

 インテックが開発した金融機関向けCRMシステム「fcube(エフキューブ)」は、社内に蓄積された顧客情報に簡単にアクセスできる仕組みを生成AIで構築した。同社の宮丸友輔氏(バンキングビジネス事業本部事業企画部プロダクトマネージャ)は「生成AIにより、行員の代理人をシステムの中に宿らせた。目的が不明確な業務でも、蓄積されたデータから支援できるようになる」と話す。

 例えば、新任の担当者が引き継いだ案件の詳細を把握する際に威力を発揮する。「前任者と会話するように、いつ、どういったことを顧客と話したのか、その文脈を踏まえて問いかけられる」と宮丸氏。これにより、顧客情報の把握にかかる時間が大幅に短縮されるという。

 一方、野村総合研究所(NRI)は、コンタクトセンター向けに生成AI連携機能を活用した。同社のシニアシステムコンサルタントの大倉朝子氏(デジタルワークプレイス事業四部)は、その機能を次のように説明する。「通話中にFAQを検索・表示し、ぴったりと合うものがない場合は、社内マニュアルやFAQをもとに回答例を生成する。さらに、通話後には重要な会話の抜粋から要約文を生成し、お客さまの声を基に分析と考察も自動で行う」

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