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日立の金融事業、インドで無双 「DXの落とし穴」にハマりながらも成し遂げたトップシェア

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月1日 6時0分

 「この課題を解決して加盟店を支援しなければ、ただの中途半端なデジタルソリューションベンダーになってしまう。それでは全然意味がない、と気付きました。現在、1万7500の加盟店に、定期的に現金の回収に行ったり、現金が不足しないように届けたりというサービスを展開しています」(松本氏)

 「デジタル化は手段で、必要なのは加盟店のニーズを実現すること」という一番重要なポイントに立ち返り、デジタルに固執せずに、加盟店や買い物客特有の現金需要を汲んだ対応をすることで、独自のDXの確立にこぎつけた。

●POS事業の「次のDX」 強みのデータ分析を生かす

 そして、すでに次のDXの実現にも着手している。カードやQRコード決済で記録が残るPOSデータと現金決済データの両方のデータを分析・活用し、加盟店が新たな金融サービスを受けられるような仕組みの整備を進めているのだ。

 「小売店のデータ分析と言えば、POSデータが中心です。しかし、インドはいまだに現金での決済が約7割を占めています。POSデータだけでは正しい売り上げ状況や顧客動向を把握できません。POSと現金のデータが両方あって初めて分析として意味があるものになると思います」(松本氏)

 SBIが所有しているPOS経由のデータと、日立キャッシュマネジメント(日立ペイメントサービス100%子会社)が展開する現金輸送サービスで収集したデータをSBIペイメントサービス内で統合することで、他行には掴めない現金の流れも把握できる状態を作り上げている。

 POSと現金の流れを把握することで、加盟店のビジネスが成長しているかどうかも分かる。事業が好調に推移しているという情報を銀行に提供できれば、与信が増えて店舗拡大や設備投資のための借り入れなども可能になるかもしれない。

 「この循環を作っていくことが、われわれが次に完成させようとしているDXであり、データの利活用です」(松本氏)

●インドで学んだ「DXの本質」

 ここまで紹介したように、インドの決済市場において日立ペイメントサービスがなくてはならない存在に成長していることが分かるだろう。

 しかし、その道のりは決して平たんではなく、DXの落とし穴の中でもがくことも少なくなかった。松本氏はこれまでの軌跡を振り返り、DXの落とし穴として、(1)手段の目的化、(2)アナログ vs デジタル、(3)売り切り型ビジネスの呪縛の3つを挙げた。

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