みずほ、第一生命、りそな社長が鼎談 インパクト投資への「課題と葛藤」
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月29日 19時50分
推進するに当たっての課題としては「一社だけでは大きなムーブメントを起こすことはできません。産・官・学・金融のつながりを作って、業界を超えた取り組みが必要だと感じています。その取り組みが新たな価値を生み出す大きなポイントになると考えています。SXやインパクト投資は、業界の垣根にとらわれることなく、日本全体の総力戦で進めていくべき課題です」と、トータルでの取り組みの必要性を強調した。
急速な人口減少に対しては「いかして長期的に歯止めをかけ、時間をかけて反転させるのかについて、解決に向けた大きなイメージを国から個人に至るまで共有していくのが、これからの日本を考える上で必要なことです」と話す。
「一企業の力の及ぶところは極めて小さいものの、全ての関係者が傍観者になるのは良くありません。このため『総力戦』で知恵を出し、現実的な解決策を試行錯誤を通じて見つけていくことが必要だと思います。われわれは、地域経済の活性化を筆頭に掲げている金融グループとして、地域への貢献、町おこしなどに積極的に参画していますが、実際に取り組んでいる中で『力及ばず感』を感じることもあります。先進的な取り組みを個別行、個人を超えて共有事例として共通理解を持ち、共に取り組むことが重要です。地域社会にポジティブなインパクトを創出するための指標、見える化を少しずつ整えていくのが、今後の道しるべになるのではないでしょうか」
今後の課題について隅野社長は、金融界の連携が必要だと指摘する。「インパクト投資の裾野が広がり、参加者が主体となっての実装段階に入っています」とした上で「気候変動を中心に多くのイニシアチブが乱立している状態であり、持続可能な社会の実現に向けて、力を結集すべき」と呼び掛けた。
具体的には「金融宣言は、内外の活動の取り組みを超えて連携、共同することが可能な立ち位置にあると思います。最近、金融庁が立ち上げた『インパクトコンソーシアム』などとも連携を取りながら、金融全体のムーブメントを起こしていく価値があるのではないでしょうか」と期待感を示した。
●「社会的価値を経済的価値に転換」
木原社長は「金融宣言に参加した各社が、インパクト投資の事例を共有して活動していくことが重要だ」と話す。その上で「難しいのは、最初は(この投資は)全然もうからない。経済的価値と社会的価値との同時実現は簡単ではありません。実際にやろうとすると最初は赤字になり、マイナスからのスタートになります。だから企業はなかなか踏み切れないのです。社会的価値を経済的価値に転換して、最終的に企業利益の向上につながる循環ができれば大きなドライバーになると思います」と語った。
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