1本1500円は当たり前!? 物価高でも高価格シャンプーが売れ続けるワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月30日 15時0分
ECでの販売実績を作ったボタニストは、ドラッグストアへと販路を拡大。実店舗での売れ行きは大菅氏が「予想以上だった」と驚くほどで、在庫が追い付かず数カ月入荷待ちとなることも。発売からの累計販売個数は1.7億本(2023年12月時点)を突破した。
●続々参入する新興企業
ボタニストの大ヒットを受けて、高価格シャンプー市場には、新興企業が次々と参入することになる。中でもヴィークレア(東京都港区)の「アンドハニー」、ステラシード(東京都港区)の「エイトザタラソ」が好調だ。
ボタニストを手掛けるI-neも、2021年に新ブランド「YOLU(ヨル)」を投入。累計販売個数は5000万本(2024年5月時点)を突破し、ボタニストに匹敵する人気ブランドに成長させている。
●花王、新ブランド「melt」で猛追
こうした新興企業に対し、大手メーカーも反撃の動きを見せている。中でも花王が2024年2月に立ち上げた新ブランド「melt(以下、メルト)」は、発売から約1カ月の出荷本数が計画比の9倍という大ヒットを記録。開発担当の野原聡氏(同社ヘルス&ビューティーケア事業部門 ヘアケア第1事業部 ブランドマネジャー)は、「弊社においてこれだけのヒットは近年では珍しい」と話す。
メルトは「休みながら美しく“休息美容”」がブランドコンセプトだ。これまで同社が展開してきたシャンプーは機能性やスペックでブランドをポジショニングしてきたが、メルトは感情を軸にブランドを設計した。「先行ブランドに追い付くべく、とにかく早く市場に出したかったので、部門ごとのリレー形式ではなく、マーケティング、研究などの各担当者がチームとなって開発しました」(野原氏)。商品は5カ月ほどで完成させたという。
メルトは商品ラインアップの豊富さが強みの1つだ。定番のシャンプーとトリートメントだけでなく、髪用の化粧水やヘッドスパから着想した生炭酸シャンプーなどさまざまなアイテムをそろえる。ブランドのポジショニングでは情緒的な部分を重視する一方、商品の機能性にもこだわり、同社が長年の研究開発で培ったノウハウを生かしている。
ドラッグストアに設置する販促物にも力を入れている。「商品が棚のどこに置かれるかは店舗次第です。そのため数カ月に1回、店舗ごとの販売実績を振り返り、販促物の見直しを行っています。メルトは発売からまだ7カ月ほどですが、販促物の修正はすでに4回行っています」(野原氏)。通常の販促物より修正の頻度が高いそうだ。
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