1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

重役が若手社員に「自己PR」 三菱マテリアルの“逆指導”制度が面白い

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月3日 6時15分

 「メンター1人に対して、メンティーとは異なるカンパニー部門の若手が複数名で面談する形式です。メンター同士もなるべく部門が被らないようにしており、斜めや横の社内コミュニケーションを活発化させる狙いもあります」(長谷川氏)

●メンター志望者を倍増させた「アピールシート」

 しかし、当初はメンター志望者の少なさが課題だった。コーポレートコミュニケーション室 室長の久保田千秋氏は「当初は従業員も制度の存在は知っていても、誰が参加しているのか、どんな会話をしているのかが分からない状況でした」という。コーポレートコミュニケーション室 広報グループの大里ひとみ氏は「実施期間や頻度も一律だったので、業務の都合で応募できない社員もいたのではないか。若手社員と役員の組み合わせも事務局がブラックボックスで決めていたので、メンターとしても不安があったのでは」と話す。

 そこで同社は、2023年度から開催形式を変更した。元々は単なる「メンターの募集」にとどまっていたが、役員側が話したい内容やメンタリングの頻度についての希望、自らの人となりといったアピールポイントをまとめた「アピールシート」を公開。メンター側が応募時に話してみたい役員を第1~第3希望まで選ぶ形式とした。実施形式の自由度も高め、それまでは事務局が「月に1回」のように一律で指定していた期間や頻度なども、「最低3回は行うこと」という条件は設けつつ、当事者らが柔軟に決められるようにした。

 この施策の導入後、2022年度には22人だった応募者数は、2023年度には43人へと2倍以上に増加。アピールシートには家族構成や好きな食べ物など、役員の人となりが分かるような内容も織り込まれており、大里氏は「応募する側のハードルが下がったのでは」と見る。

 「開始当初は前職でリバースメンター制度を経験した人の意見や、他社の事例を参考にしたりしましたが、実際に進めていく中で、独自の要素をどんどん取り入れていきました。だんだんとオリジナリティーが増している感じです」(久保田氏)

●部門間コミュニケーションも活発に

 リバースメンター制度は同社に、どのような効果をもたらしたのだろうか。大里氏は「リバースメンタリングの本来の目的である『コミュニケーション促進』と『DE&Iの推進』の、どちらも達成できているという手応えを感じています」と話す。

 実施後のアンケートの結果を見ても、8割が「目的を達成した(自由闊達な意見交換・新しい気付きを得られた)」、ほぼ全員が「ほかの人にも勧めたい」と回答しており、メンター経験者からの評価は高い。「経営層の考えを聞ける機会でとてもためになった」といった声も上がっており、上下間のコミュニケーションは着実に活発化しているようだ。「役員層にとっても、通常は自分の所管の若手社員としか話をする機会がないので、別の観点から新しい考えを聞く、よい機会になっているようです」(大里氏)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください