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OpenAI o1、実は大型進化 サム・アルトマン氏が仕掛けたマーケティング

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月22日 10時10分

 そのパネル討論会の直後、非営利団体OpenAIの理事会がサム・アルトマン氏に解雇を言い渡した。OpenAIは、営利組織の株式会社OpenAIの上部組織として非営利団体OpenAIが存在するという、変わった組織形態になっている。非営利団体OpenAIの目的は、株式会社OpenAIの作るAIが人類に危害を与えるものにならないように監視することだ。

 突然の解雇通告に、当人はもとより同社の従業員や株主も驚いた。95%の従業員が同氏のCEO復帰を求める書簡に署名。サム・アルトマン氏の復帰がなければ転職する決意を表明した。また株主からの強い働きかけもあって、結局5日後の11月22日にサム・アルトマン氏がCEOに復帰。非営利団体の理事会は解散となった。

 解雇通告の理由はいまだに正式には明らかになっていないが、その後の報道を見ると、論理的思考を持つ次期モデルが人類に危害を与える可能性があると理事会が判断した、というシナリオが最も有力な説と言えそうだ。

 AIが論理的思考を持つようになると、どのような危害が人類に及ぶのだろう。この問題に関し、サム・アルトマン氏自身がWall Street Journalのインタビューに、次のように答えている。

 「怖いのは、AIによる一人一人に対する説得行為だ。明らかに分かるような形で説得してくるのではなく、知らない間に納得させられてしまっているような働きかけがAIには可能。それが大きな問題になるのではないかと思う」。このインタビューの動画がリリースされたのが2023年10月21日。「大きなブレークスルーがあった」と同氏が語った直後だ。このブレークスルーを受けてOpenAI社内で、いろいろな議論が交わされていたのだろう。

 それでもAIは人類にとって大きなメリットとなる。そこでサム・アルトマン氏は、社会が驚いて反発しないような形での次世代モデルのリリースを考えたのだと思う。前出のレックス・フリードマン氏とのインタビューの中で、同氏が「GPT-5はどんなモデルになるのか。いつ出るのか?」と何度も執拗に聞いてくるので、「世間がそこまで次のモデルに関心があるのなら、大きなバージョンアップではなく、小さな進化があるごとに新しいモデルとして小出しにしていかないといけないのかも」と語っている。

 事実その直後からOpenAIは、小さな進化ごとに新しいモデルとして小出しにする戦略に切り替えている。GPT-4oを5月に、GPT-4o miniを7月にリリースしている。そして今回リリースしたOpenAI o1はプレビュー版。これからo1シリーズとして、次々モデルを小出しでリリースしていくことを明らかにしている。

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