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OpenAI o1、実は大型進化 サム・アルトマン氏が仕掛けたマーケティング

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月22日 10時10分

 ところが論理的思考が強化されたAIは、この質問に対していろいろな思考プロセスで答えようとする。中でも以下の思考プロセスを得て出した答えに対して、ユーザーから「いいね」をもうらうと、この思考プロセスが正しかったと理解する。

1. 公式を見つけてくる

2. 公式に数字を当てはめる

3. 計算する

 このように多くのユーザーとのやり取りを繰り返していくと、AIの論理的思考プロセスがどんどん複雑に洗練されていく。これまでのAIが「物知りのAI」だとすれば、o1シリーズからのAIは「地頭のいいAI」に進化していくことになるわけだ。

 o1シリーズのもう一つの特徴は、学習プロセスだけでなく、推論プロセスででもスケール則が有効になるということだ。スケール則とは、計算資源の量と質、計算式の大きさ、学習データの大きさという3つの要素に、AIの性能が比例する、という経験則だ。一般的には高性能の半導体を数多くそろえればAIが進化する、というような意味合いで理解されていて、大手AI企業間での高性能半導体の買い占め競争や、大型データセンターの建設競争が繰り広げられている。

 AIにおける半導体の用途としては、AIモデルをトレーニングする「学習」プロセスと、学習済みのAIモデルを実際に使って問題を解く「推論」のプロセスがある。これまでは「学習」に大量の半導体が割り当てられていた。一般的に学生は、テスト前に何時間も勉強するのに、テストを受けるのはわずか1時間程度。「推論」よりも「学習」に桁違いのエネルギーを注ぐわけだ。

 同様にこれまでは「学習」に大量の半導体を使うことでAIが進化してきた。スケール則が有効だったわけだ。しかしそろそろスケール則も頭打ちになる、AIブームが幻滅期に入るという説が浮上してきた中で、「考えるAI」つまり「推論」プロセスが重要なAIのパラダイムが始まった。「学習」に加えて「推論」でもスケール則に従ってAIが進化する可能性が出てきたわけだ。

 サム・アルトマン氏を始めOpenAIの経営幹部は、今回のo1シリーズをあまり持ち上げないようにと一生懸命だが、OpenAIの現場のエンジニアたちはそうした社の方針にはお構いなし。X上に好きな意見を投稿している。

 OpenAIエンジニアのウィル・デピュー氏は「これが新しいパラダイムだということを人々に理解してもらいたい」と投稿している。また「これまでと同じペースで進化するわけがない。o1の進化は、OpenAI史上、過去最速になる。今年はワイルドな年になりそう」とも語っている。

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