OpenAI o1、実は大型進化 サム・アルトマン氏が仕掛けたマーケティング
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月22日 10時10分
モデルを小出しにするというのが、社会を驚かさない一つの施策だが、その他にもサム・アルトマン氏はいろいろな施策を打ってきた。例えば、モデルの名称を変えてきたこともその施策の一つだろう。GPT-5の登場を待っていたマスメディアは、これが次の大きなバージョンアップなのか判断がつかず、大きく取り上げることができなかった。
またプレビュー版の機能をわざと限定してきた。プレビュー版には、ブラウザ、マルチモーダル機能などが未搭載。その論理的思考に博士号取得者レベルのユーザーが大絶賛する一方で、機能的には前のモデルと大差ないと一般ユーザーからは酷評されている。
さらにはOpenAIのCTOのミラ・ムラティ氏は、Wired誌のインタビューを受けて、GPTシリーズを今後もリリースすることを明言。o1シリーズを傍流の進化だというイメージを打ち出してきた。
こうした施策が功を奏して、今のところo1がGPT-5と呼ばれていた次の大型進化であることに気付いている一般ユーザーはまだそう多くない。
●新しいパラダイムの2つの特徴
ただ英語圏の著名技術者たちの間では、o1が大型進化であることにさすがに気付いているようで、X上での議論が盛り上がってきた。
有力な米AIベンチャーExa.aiのウィル・ブラーキー氏は「o1は(生成AI登場以来の)最大のAIの進化。非常に興奮している」と語っている。クラウドストレージのBox社のアーロン・レヴィ氏は「AI論理的思考の飛躍的な進歩」、有名ポッドキャスターも「恐ろしく優秀」、著名エンジニアも「思考力、計画力、実行力は桁外れ」とそれぞれ絶賛している。
こうした議論を眺めていると、o1シリーズの2つの特徴に注目が集まり始めているようだ。
1つは、o1シリーズでは論理的思考プロセスが強化され、ユーザーからのフィードバックを受けて、論理的思考が今後どんどん強化される可能性があるということだ。専門的に言うと、RLHF + CoTというぐるぐるモデルが回り始めるということだ。
例えばこれまでのAIに「底辺5センチメートルで高さが2センチメートルの三角形の面積は?」と聞くと、これまでのAIは、ネット上に「底辺5センチメートル高さ2センチメートルの面積は5平方センチメートル」という記述があれば、「5平方センチメートル」と答える。
まったく同じ記述がなければ、それらしい答えをもっともらしい表現で適当に返してくる。ハルシネーションと呼ばれるウソ回答だ。しかし「5」と答えればユーザーから「いいね」評価をもらえるので、同じ質問には「5」と答えるのがいいのだとAIは学習する。しかしなぜ答えが「5」になるのかは一向に学習できない仕組みだ。
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