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サイゼリヤの進化か、改悪か? メニュー削減と2000店舗拡大の裏にある戦略

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月9日 5時15分

 食事というのは、食べているときだけが楽しいわけではない。いろんな料理の並んだメニューを見ながら「あれもいいな」「これうまそうじゃない?」なんてやりとりも楽しいのであって、そこが「食」というエンターテインメントの大事な要素だ。

 今回、サイゼリヤはそれを「効率化」「低価格路線維持」という名目でバッサリ切り捨ててしまった。ネットやSNSを見ても「ちょっと値上げをしても、それでも十分安いのだからメニューを減らさないでほしい」という意見がちょこちょこある。

 確かに安いサイゼリヤでいろんなメニューをガッツリ食べたい人や、「サイゼリヤ飲み」でいろんなツマミをちょこちょこ楽しみたい人からすれば当然の要望だ。

 つまり、今回の「安さをキープするためにメニューを減らします」という施策は、これまでサイゼリヤの成長を支えてきた熱心なファンを裏切っているとも言えるのではないかと思ってしまうのだ。

 そういう疑念を強めているのが「2000店舗」とこれまでよりもさらに目標を大きく引き上げている点だ。

●消費者がサイゼリヤに求めていること

 現在、サイゼリヤは2024年9月時点で1040店舗だ。ここから倍増をしたところでぶっちゃけ、熱心なサイゼリヤファンからすればあまり関係がない。もちろん、家の近くに新しいサイゼリヤができてくれたらありがたいのかもしれないが、サイゼリヤンがこの店を愛しているのは、ゆったりとした席で、破格の値段でおいしい食事が楽しめるという点だ。

 今、サイゼリヤが増やそうとしている、従業員3人で回すような小型店では「いつものサイゼのほうがいいな」と感じてしまう人もいるのではないか。

 つまり、サイゼリヤが進める「メニュー減少」「低価格路線の維持」の先にある「ファストフード化」「小型店舗化」というのは、サイゼリヤという企業にとって正しい戦略なのだが、それが必ずしも消費者側のニーズと合致していないのではないかと言いたいのだ。

 では、消費者は何を求めているのか。ちょびっとくらい値上げしてもメニューを減らすことなく、今のサイゼリヤの「安くて最高」をキープしてくれればそれでいいのである。

 もちろん、消費者の嗜好(しこう)の変化によって進化していくことも必要だ。例えば、相変わらず100円ワインでの「サイゼリヤ飲み」が人気なのだから、せんべろ居酒屋の「サイゼリヤ酒場」なんてスピンオフをしてもいいし、激安のミラノ風ドリアなどの食事をカウンター席でさっと食べさせる、牛丼チェーン的な店舗に挑戦してもいい。

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